中国で強まる自動車の環境規制。新エネ車を日系メーカーは商機にできるか

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北京モーターショーの日産ブース

2019年に世界最大の電気自動車(EV)市場となった中国。その背景にはEV、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を新エネルギー車(NEV)として普及を後押しする環境政策がある。

中国政府は自動車メーカーに一定割合の新エネ車の販売を義務付ける「NEV規制」を19年に導入した。ガソリン車を製造販売するとマイナスポイントを与え、新エネ車の製造販売で得られるポイントで穴埋めするよう求める。一方、メーカーごとに販売した車の1年間の平均燃費に関する「CAFC(企業平均燃費)規制」を既に導入。両規制はクレジットと呼ばれる目標値で管理される。例えばCAFC規制で平均燃費が目標値を下回りポイントがマイナスとなった場合、NEV規制でのプラスのポイントをクレジットとして融通し、相殺できる。

19年の規制の実績についてIHSマークイットの波多野通プリンシパルは外資系メーカーも含めて「片方の規制だけではなく、両方とも未達のメーカーも多い」。未達の場合は新車を認証しないなどの罰則が考えられるが「実際に罰則を科されたかはまだはっきりわかっていない」という。

両規制は21年以降も段階的な強化が予定されている。ただNEV規制では「低燃費車」と呼ばれる新たなカテゴリーが設けられ、マイナスポイントがガソリン車より小さくなる優遇措置が決まった。低燃費車は毎年厳しくなる燃費規制値を上回る車が対象。これまでガソリン車と同等の扱いだったハイブリッド車(HV)が該当するとされ、実績が豊富な日系メーカーへの恩恵が見込まれる。

中国では車メーカーの対応も活発化する。米テスラは19年末に上海市で新工場を稼働。現地化によりコスト競争力を高める。トヨタ自動車は4月に小型スポーツ多目的車(SUV)のEVなどを投入。20年代前半に世界で10車種以上のEV販売を予定する。

日産自動車は25年までに中国で独自のハイブリッド技術「eパワー」を搭載したHVやEVなど9車種の電動車の投入を計画。アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は買い替え需要の増加も踏まえ「eパワーなど新たな技術を搭載した商品を投入して期待に応えたい」と意欲を見せる。ホンダも25年までに20車種の電動車の投入を予定。独フォルクスルワーゲン(VW)は現地合弁会社とEVなどの分野で24年までに約1兆8000億円の投資を計画する。

一方、中国汽車工程学会は10月に「省エネおよび新エネルギー自動車技術ロードマップ2・0」を発表した。35年までに新車の50%をEVなどの新エネ車とし、残りの50%をエンジン駆動のみの車からHVに切り替える計画を示した。公式な政府計画ではないが、技術の方向性を示す指南書として、今後の政策策定を支援する重要材料になるとされる。

SMBC日興証券は10月28日付リポートで「16年に発表された『1・0』版と比べ、HVの省エネ車としての地位が大きく上がったことが最大の変化」と指摘。ただ長期的には「EVが中心路線であることに変わりがない」と分析する。世界最大市場の中国で進む環境規制強化の動きは、各社の電動車戦略を大きく左右する。

日刊工業新聞2020年12月3日

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