在宅需要で成長のエプソン、コロナ後を見据えさらに「家庭」へ

小川恭範社長に聞く

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小川社長(公式ユーチューブより)

BCP、自動化不可欠

セイコーエプソンは、2021年3月期の連結業績予想の売上高を9600億円(従来予想は9300億円)、営業利益を280億円(同160億円)に上方修正した。在宅需要の増加に伴い、主力のプリンター本体・インクの売り上げが想定を上回ったほか、販管費などの費用削減が奏功した。一方、コロナ禍による生産制約やプロジェクター市場の縮小などが不安材料となる。小川恭範社長に今後の戦略について聞いた。

―6月以降、各分野で販売が回復しています。

「10月以降は、前年並みに戻ると予想している。特にプリンターは、先進国を中心に在宅勤務・学習需要が拡大している。7―9月期以降はアジア新興国でも、大容量インクタンク搭載インクジェットプリンターの需要が回復しつつある」

―販管費などの費用削減を進めています。

「オンライン営業はできるだけ継続する。イベント開催もオンラインに切り替える。10月以降、販管費は一定程度の水準に戻すが、かつてのようには増やさない」

―リスクに備え、生産拠点の分散化を重視しています。

「事業継続計画(BCP)対策で、分散して生産できるような体制の構築を目指している。その上で、工場の省人化・自動化は不可欠。今後は海外にあるプリンター組み立て用の生産ラインで、自社製ロボットの活用も進める。そうすることが、ロボット事業の発展にもつながる」

―プロジェクター市場の縮小が見込まれています。

「安価な大画面のフラットパネルディスプレー(FPD)が出回るようになり、小さめの会議室向けプロジェクターはFPDへの買い替えが進んでいる。この動きは流れとして止めることができない」

「プロジェクター事業では、固定費を削減し、筋肉質な体質を作っていく。ロボット事業など他事業への人員のシフトも進めているところだ」

―一方、足元では家庭向けのプロジェクター需要が発生しています。

「家にディスプレーを置くのが邪魔だと思う人がいること、インターネットで動画を視聴する人が増えたことが背景にある。ビジネス向けから家庭向けへの転換も少しずつ進めていく」

【記者の目/ロボット事業の拡大チャンス】

エプソンは、プリンター大手2社の一角を占める。オフィス出社率の低下などで事務機器市場に逆風が吹く一方で、同社にとって在宅需要は追い風となる。ただ、コロナ特需がいつまで続くか不透明なのも事実。中長期で市場成長が見込める、商業・産業印刷やロボット事業の拡大がカギとなりそうだ。(張谷京子)

日刊工業新聞2020年12月2日

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