低コストでアルミと鋼板を接合、ダイヘンが新溶接技術
ダイヘンは合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(GA材)を高強度かつ低コストで接合できる溶接技術を開発した。アルミニウムと鋼板の異材接合を実現する溶接システムの適用範囲を拡大。アーク溶接とレーザー溶接を組み合わせた。自動車業界では軽量化や塗装耐食性、プレス性などへの対応で、足回りやシャシーなどの部材にGA材の採用が進む。新技術によって、自動車業界向けに提案を強化する。
新技術ではパルス照射方式のレーザー光を採用し、接合強度低下の原因となる金属間化合物(IMC)の成長を抑制する。それにより引っ張り強度110メガパスカル程度を実現。強度はJIS規格A級判定基準の倍以上となる。GA材のメッキ層は亜鉛と鉄の合金で構成され、一般的にメッキ層に鉄が多いと、溶接の際にIMCが生成されやすい。そのため従来の溶接では十分な強度を実現できなかった。
すでに同社では古河電気工業と共同で、アーク溶接とレーザー溶接を組み合わせて異材接合を実現するハイブリッド溶接システムを開発、1月に市場投入している。だがレーザー光は連続照射方式なため、あくまでアルミと溶融亜鉛メッキ鋼板(GI材)との接合を想定。今後はパルス照射方式に変更してGA材にも対応可能にし、提案の幅を広げる。
現在アルミとGA材の接合は、接着剤やリベットを使う方式が一般的。溶接なら治具の簡素化や工程時間の短縮などが見込め、高価な接着剤やリベットも不要だ。同システムで2025年度に売上高30億円を目指す。
日刊工業新聞2020年12月2日