日立建機は２０日、溶接作業を定量的なデータで見える化する計測技術を開発したと発表した。作業者の経験や感覚に左右される溶接技術を効果的に伝承する方法として利用する。同技術を基に、４月から溶接技能教育で活用するための訓練システム開発に向けた実証実験を開始した。将来は海外を含めた訓練システムに取り入れる。

同技術の開発には、溶接の熟練技能者と若手技能者が参加。溶接作業中の視線、溶接トーチを動かす速度や電流・電圧などの諸条件と溶接部の状態を、複数のカメラやモーションキャプチャーで測定することで開発した。

４月からの実証実験は、霞ケ浦総合研修所（茨城県阿見町）で実施。熟練技能者と若手技能者約２０人を対象に同技術を用いて条件や動作を計測する。計測したデータと溶接の仕上がりや品質の相関性を解析し、適正な溶接条件や動作を新たな基準として定める。

その後、新基準と若手技能者の溶接作業を比較できる訓練システムを開発する。若手技能者が視覚的で定量的な情報を基に、自身の改善点を把握できるようにする。さらに、若手を指導する教官もデータに基づいた具体的な指導ができるようになり、双方が同じイメージを共有した上で効果的な訓練を行えるようにする。技能の効果的な習得や、習得レベルの個人差の解消を目指す。