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自動車の「熱」を操る実力部品メーカー、EV化への危機感とチャンス

カーエアコン用配管のオーツカ、新製品を開発

オーツカは、カーエアコン用配管や断熱・耐熱性に優れたフレキシブルチューブなどの自動車部品関連がメーンで売り上げの6割を占める。生産拠点は国内5カ所、米国と中国にそれぞれ2カ所構える。新型コロナウイルスの影響を受けているが「未来に対する投資は怠らない」と大塚宏之社長は力を込める。自動車の電動化や市場の変化を見据えて、柔軟に対応していく考えだ。

自動車部品関連の売り上げの4割を占める主力のカーエアコン用配管では、販路拡大を計画する。スズキとの取引量が多く国内工場に納入している。スズキの主要市場がインドであるため、オーツカも現地での事業展開を視野に入れ、現地法人の登記を完了した。新型コロナの影響を考慮しながら、インドでの事業を進める。日産自動車とも一定量のカーエアコン用配管を納入しており、電気自動車(EV)「リーフ」にも採用されている。

一方、電動化の影響を大きく受けるのが、カーエアコン配管に次いで同2割の売り上げを占めるフレキシブルチューブ「O―フレックスチューブ」だ。国内全ての自動車メーカーやティア1メーカーなどに納入している。同チューブは熱害対策などで主にエンジン回りで使用されるため、自動車のEV化が加速すれば「売り上げが減っていく」(大塚社長)と危機感をあらわにする。

こうした状況を反転しようと開発したのが、加工性を配慮したシート状製品「シートフレックス」だ。O―フレックスチューブの基本性能はそのままに、形状を筒状から自由に曲がるシート状に改良した。同社が培った電磁波シールド技術を応用することでEVの電磁波対策にも活用できる。加工性に優れているため、自動車はもとより、鉄道や建機などの分野で販路を開拓する方針だ。

国内の生産拠点は関東地区に集中している。顧客に密着したサービス提供などを目的に、新たな方策について検討している。


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日刊工業新聞2020年11月24日

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