「バイデン大統領」に日本の経済界は?ここが期待、ここが警戒

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バイデン公式ツイッターより

EV推進、開発戦略転換も

バイデン米新政権の発足を見据え、日本の産業界では期待と警戒が交錯する。

経団連の中西宏明会長はバイデン氏の印象について、「同盟国との協調を重視し、従来の米国の考え方をしっかり踏襲している。話しがきちんとできる大統領(になる)と思う」とし、国際協調路線への転換に期待感を示す。日本貿易会の小林健会長も「(トランプ大統領が掲げてきた)米国第一主義を脱して連携を強化し、国際協調路線に舵(かじ)を戻す」ことを期待。環太平洋連携協定(TPP)も「経済的な繁栄だけでなく、アジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たすもので米国の復帰を希望する」とする。

トランプ政権で対立が深まった米中関係について、経団連の中西会長は「トランプ大統領のように関税をいきなり上げるようなことはなく、違ったアプローチがこれから出てくるだろう」とみる。バイデン氏は他国に高い関税をかける手法に批判的な立場とされるが、中国に対する強硬姿勢はトランプ大統領と変わらないとの見方が大勢だ。

工作機械業界では新型コロナウイルス感染拡大で落ち込んだ受注の回復を中国市場がけん引しており、米中情勢の注目度は特に高い。芝浦機械の坂元繁友社長は「米中関係の行方が、我々にとっては非常にセンシティブだ。(バイデン氏が当確となったところで)どうなるかは正直わからない状況だ」と警戒を緩めない。トランプ政権による中国通信機器最大手華為技術(ファーウェイ)に対する輸出規制など、対立のあおりを受ける半導体関連企業も、バイデン氏による対中政策を注視する情勢が続きそうだ。

バイデン氏はトランプ大統領と打って変わって環境政策を重視しており、電気自動車(EV)普及のために充電施設を50万カ所設置するなど具体的な方針を掲げている。一方でハイブリッド車(HV)の扱いは詳細が示されておらず、場合によってはHVで先行した日本車メーカーは戦略転換を迫られる可能性がある。マツダの丸本明社長は「さまざまな政策が今後出て来るだろうが、注視しながら対応策を検討していく」としている。

一方で、「環境負荷を低減する給湯器のニーズが高まる」(ノーリツの腹巻知社長)など商機と捉える向きも多い。堺化学工業の矢部正昭社長は「EVの普及や再生可能エネルギー比率を上げることなどに舵を切るとみている。新たな需要を取り込める可能性が高まる」としている。

日刊工業新聞2020年11月13日

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