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レアアース高騰!中国EV拡大で3年ぶり高値。日本は警戒強める

電気自動車(EV)のモーター磁石などに使われるレアアースの国際相場が急騰し、2017年11月以来、約3年ぶりの高値をつけている。中国ではEVなど「新エネルギー車」の10月の販売台数が前年同月比約2倍の16万台に乗るなど、需要が急拡大して価格が押し上げられた。また、中国は12月1日に施行する戦略物資の輸出規制の対象にレアアースを含める可能性もあり、市中では一段の価格上昇や調達難への警戒感が高まっている。

超電導や強磁性などの特性を持つレアアースは、EVや産業ロボットなどのハイテク製品に使われている。中国が鉱石生産シェアで約6割を占め、日本も輸入の約6割を中国に依存しており、中国需給の動向に大きな影響を受ける。

レアアースの一種でモーター磁石などに使うネオジムの相場は、足元で1キログラム=79ドル近辺を推移し、6月の安値比で約4割高い。11月は中国のEV需要の急増を受けて騰勢を強めており、10月末比でも約16%高い。

中国では、コロナ禍からの景気回復や購入補助金の支給を背景に、7月に新エネ車の販売台数が前年同月比19・3%増の9万8000台と13カ月ぶりにプラスに転じた。8月以降も堅調に推移し、市中からは「旺盛な中国需要を受けて需給が引き締まり、レアアースが調達しにくくなっている」(国内商社)との声が聞かれる。

足元では、中国が戦略物資輸出を許可制とする輸出管理法の動向も注視されている。詳細は明らかになっていないが、レアアースは誘導ミサイルなどの軍事品にも使われるため規制対象となる可能性があり、「供給が制約されれば相場がさらに上昇する」(同)とみられている。

中国の輸出管理法の12月施行を控え、梶山弘志経済産業相が「サプライチェーン(供給網)の分断が不当に求められることがあれば、前面に立って支援する」と述べるなど、官民で警戒を強めている。

日刊工業新聞2020年11月23日

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