指の接触圧を計測するセンサーの仕組み、職人技のデジタルアーカイブ化などに期待
東大が開発
東京大学の染谷隆夫教授らは、手を使った作業中に指がモノに触れた際の圧力を計測できるセンサーを開発した。指先に装着し、皮膚感覚に影響を与えることなく、指がモノに触れた時の接触圧を正確に計測できた。医師や職人の指先に貼り付け接触圧を測ることで、指先の繊細な作業をデジタルアーカイブ(保存記録)化するなどの応用が期待される。
手袋型センサーで腕や指の動きを計測しデジタル化することが医療やスポーツ、神経工学などの分野で利用されている。だがセンサーを装着すると本来の皮膚感覚が損なわれる。一方、センサーを薄くすると壊れやすく耐久性を確保できなかった。
研究グループは、表面から順に保護層、上部電極、中間層、下部電極の4層で重ね合わせた構造を持つ皮膚圧力センサーを開発。薄さと高い機械的耐久性を両立した。
18人の被験者に装着した圧力センサーの皮膚感覚への影響を評価。圧力センサーを指に貼り付けた場合と貼り付けていない場合で、モノを持ち上げたり保持することで力に差がでないことを確認した。指先にセンサーを貼り付けた際、皮膚感覚に影響が出ないことを実証したのは初めてという。
さらに100キロパスカルの力でセンサーの表面を300回こすったところ、感度の低下を5%以下に抑えられることを示し、センサーの性能を維持できることを確認した。
ドイツ・ミュンヘン工科大学との共同研究。成果は20日、米科学誌サイエンス電子版に掲載された。
日刊工業新聞2020年11月20日