脱炭素化を前倒しするIHI、マレーシアでパーム廃棄物の燃料化に挑む

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パームヤシ空果房から燃料ペレットを製造する工場

IHIが資源・エネルギー・環境事業で、二酸化炭素(CO2)の削減に向けたビジネスモデルの構築を進めている。パームの廃棄物を固体バイオマス燃料として活用する事業をマレーシアで展開するほか、燃料に使うメタンをCO2から製造する技術も実証している。化石燃料から再生可能エネルギーの利用に移行する動きが強まっており、新たな収益源を確保する必要がある。それには環境負荷を減らす「脱炭素化」が突破口となる。

「当初考えていたよりも前倒しで取り組む必要がある」。久保田伸彦理事は脱炭素化への対応をこう説明する。新型コロナウイルス感染症の拡大で打撃を受けた経済を立て直すため、脱炭素化を起爆剤にしようとする機運が高まりつつある。石炭火力発電に対する逆風も強く、IHIはCO2削減につながる技術を生かした新たなビジネスモデルの創出を目指している。

その中で事業化にこぎつけたのがマレーシアでの固体バイオマス燃料事業だ。パーム油の搾油過程で大量に発生する廃棄物(パームヤシ空果房)を燃料ペレットや、バイオプラスチックとして活用する。従来は大部分が廃棄され、土壌汚染などの原因になっていた。マレーシアの主要産業の一つがパーム農園だけに、固体バイオマス燃料事業を通じて持続可能性を高める。需要が見込まれる固定バイオマス燃料の安定供給にもつながりそうだ。

また、IHIはCO2と水素の反応によりメタンを製造する技術(メタネーション)をシンガポールの研究機関と共同研究し、実証装置を開発した。さらに反応に必要な触媒も「長寿命で安定的に使える」(久保田理事)という。生成したメタンを発電用燃料に利用できるため、CO2をリサイクルする技術と言える。

IHIは2022年度までの3カ年の事業計画で、脱炭素化や循環型社会を重視する方針を打ち出しており、新たなビジネスモデルで成長力を高める。(孝志勇輔)

日刊工業新聞2020年11月20日

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