これは快感!?阪大が世界最高レベルの測定装置を遠隔で使える仕組み確立

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大阪大学は強みとする化学分析の核磁気共鳴装置(NMR)群を、学外研究機関や企業が遠隔地から利用する仕組みを確立した。学内外のアクセスを切り替え、外部攻撃を受けてもデータ貯蔵部につながらない仕組みを整備した。また、日本電子が持つ世界最高クラスのNMRにつなげる試行で、週末3日間をかけて貴重なデータ取得に成功した。学内でも各研究室から操作可能になるなど、利便性が大きく高まりそうだ。

阪大は共同利用・共同研究拠点の蛋白質研究所を抱え、全学で34台の共用NMRを所有している。大阪市立大学、奈良工業高等専門学校と機器共用の活動を以前から進めていたが、新型コロナウイルス感染症が拡大。三密を避けて、離れた場所から機器を操作するニーズが高まった。

まずオートサンプルチェンジャーなどの自動機器や、分析室の様子がわかるウェブカメラを設置。学内ローカルネットワークでつながる理学系研究科15研究室などで、分析室にいなくても長時間や連続の測定操作ができるシステムを導入した。

学外からはインターネットを介した化学・製薬企業の利用などで、安全性がより重要だ。そのためスイッチングハブで外部アクセスPCと内部アクセスPCを切り替え、重要データが外部に流出しないようにした。

また阪大でもできない炭素の高感度測定で、日本電子が所有する測定周波数800メガヘルツなどの最高クラスNMRの遠隔利用を試行した。週末3日間をかけて貴重なデータを収集した。

測定の難しい試料は今後、大阪市大・奈良高専―阪大―日本電子とNMRのレベルを「かかりつけ医」から「大学病院」へつなぐように順に上げて、役割分担する計画だ。

日刊工業新聞2020年11月19日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

世界最高レベルの装置を、離れた場所から研究者が操作するという遠隔利用を、初めて耳にしたときは「そんなこと、できるの?」と驚き、理解できなかった覚えがある。新型コロナが出てくるだいぶ前のこと。PCのカスタマーセンターに電話相談したら、インターネットを通じて自分の手元PC画面を次々に変えていく様に、目を白黒させるレベルだったからだ。たしか東京医科歯科大と日本電子の、クライオ電子顕微鏡についてのメディア会見だったと思う。ましてや世界最高レベルの機器、見たり触れたりするだけでもすごそうなのに、遠隔で操れるなんて快感を伴うことだろう。記事のNMRは私も学部、大学院生時代に使っていたので、遠隔にした時の操作もイメージしやすかった。機器の遠隔利用は、大学の文教(教育や経営)と科技(自然科学系の研究)と両方に関わる点もおもしろく、もう少し取材を重ねる予定だ。

キーワード
大阪大学 NMR 新型コロナ

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