1部上場製造業の3割が上方修正!際立つ自動車の強さ

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トヨタの豊田章男社長(同社公式サイトより)

上場企業の2020年4―9月期決算発表で、通期業績の上方修正が相次いでいる。裾野の広い自動車を中心に、新型コロナウイルス感染拡大からの回復が想定以上に早まっているためだ。巣ごもり需要などを捉えた上方修正も目立つ。17日の日経平均株価は終値が29年ぶりに2万6000円台を回復。コロナ禍が重しとなるが、各国の金融緩和策だけでなく、企業業績の回復見通しも株価を下支えしている。

SMBC日興証券によると、13日までに開示された東証1部上場企業1450社(開示率99・0%)の決算のうち、21年3月期見通しの当期利益を上方修正したのが24%(352社)。製造業(688社)に限ると30%(210社)となり、製造業の上方修正が目立つ。

中でも自動車の回復が顕著だ。乗用車4社が上方修正した。中国や北米の新車需要が想定を上回るペースで回復。トヨタ自動車は通期の営業利益を5000億円から1兆3000億円に引き上げた。豊田章男社長は「一朝一夕にできることではない。コツコツ積み上げてきた結果が出たのではないか」とする。ホンダも営業利益を2倍超に修正。倉石誠司副社長は「前年度を超える販売を中国で目指したい」とする。

自動車の回復は裾野にも広がる。鉄鋼3社は自動車関連などの需要持ち直しを受け、粗鋼生産量の見通しを引き上げた。鉄鋼3社の通期は2期連続の赤字となるが、本業の収益力を示す事業損益・営業損益を上方修正。赤字幅を圧縮した。

ソニーは巣ごもり需要でゲームソフトなどが伸び上方修正した。「プレイステーションユーザーの総プレイ時間がピークだった4月から落ち着いてはいるものの、依然好影響が続いている。巣ごもり需要は下期も継続する」(十時裕樹副社長)という。日立製作所はニューノーマル(新常態)に合わせたIT特需などで上振れる。「リモートやタッチレスなどのアプリケーションがいろいろ出てきており、堅実に新しい分野の受注を獲得している」(河村芳彦専務)という。

住友重機械工業も「半導体関連事業が堅調なほか、日本や中国の建設機械市場が想定よりも好転している」(下村真司社長)と上方修正。建機や精密機械などが下期からの回復を織り込んだ。

経済同友会の桜田謙悟代表幹事は17日の定例会見で業績見通しについて「(ロックダウンなど)前回と同じような状況にならない限り二番底はないだろう」との認識を示した。

29年ぶり2万6000円回復

17日の東京株式市場は、米株式市場のダウ工業株30種平均など主要3指数がそろって上昇したことを好感し、日経平均株価は1991年5月14日以来、約29年6カ月ぶりに2万6000円台を回復した。終値は前日比107円69銭高の2万6014円62銭だった。

米モデルナが新型コロナワクチンで高い有効性を示す治験データを公表し、株価を押し上げた。ただ株価の急ピッチな上昇への過熱感も高まり、ワクチン開発への期待と市況の過熱感とが綱引きをする状況で売買が交錯した。足元ではコロナ感染者が拡大しており、野村証券投資情報部の澤田麻希課長代理は「短期的にはいつ調整局面に入ってもおかしくない相場環境になっている」と指摘する。


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日刊工業新聞2020年11月18日

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