ドコモを完全子会社化するNTT、競争力のカギは「海外」と「非通信」

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NTTの澤田純社長

NTTが成長への道筋を着実に歩んでいる。2020年4―9月期連結決算(国際会計基準)は減収だったものの、海外事業の構造改革が寄与し営業増益を確保した。NTTドコモが金融をはじめとする非通信事業を伸ばすなど、収益源の多様化も進んだ。ただ競合他社も非通信事業は好調で、ドコモの存在感が大きいとまでは言えない。NTTはドコモの完全子会社化完了後、どれだけ早く競争力を高められるかが問われる。(斎藤弘和)

経費削減進む

「コロナの影響などで減収ではあるが、構造改革によって利益改善が進んでいる」―。NTTの澤田純社長は、長距離・国際通信事業の状況をこう評価する。

20年4―9月期に同事業の売上高は前年同期比10・2%減の1兆33億円となった一方、営業利益は同34・1%増の795億円と伸びを示した。

構造改革とは、NTT傘下のグローバル事業会社であるNTTリミテッドでコスト削減などが進んだことを指す。社内の業務を集約して処理する拠点のシェアードサービスセンターをルーマニアとマレーシアに設立した。また、事業領域の面でも、高付加価値サービスと位置付けるデータセンターやクラウド関連へのシフトに力を注いできた。

収益源を多様化

NTTリミテッドはNTTコミュニケーションズの海外事業、NTTセキュリティ、南アフリカ共和国のディメンション・データを統合して19年7月に営業を始めた経緯がある。足元で事業再編の効果が表れ始めていると解釈できそうだ。

収益源の多様化は、NTTの移動通信事業でも進みつつある。同事業を担うドコモは、非通信の「スマートライフ領域」が20年4―9月期に2ケタの増収営業増益となった。

ただ、非通信分野はソフトバンクやKDDIも好調だ。例えばソフトバンクは電子商取引(EC)の伸びが貢献し、20年4―9月期連結決算が増収営業増益だった。一方のドコモは減収営業増益で、増益幅もソフトバンクに比べると小さい。

ウイング広げ

澤田NTT社長は、こうした状況の背景を「ソフトバンクやKDDIは、ドコモが十分持っていない領域を広げている」と分析。一方でドコモは金融や決済を順調に拡大しており、「今までよりウイング(事業領域)を広げていければ他社以上の収益を上げていける」とした。

NTTはドコモの完全子会社化の手続きを進めており、完了後、非通信事業を一段と伸ばせるかが焦点の一つになる。澤田社長は詳細の検討はこれからだとした上で、「一般論で言えば、いろいろなシナジーや協業を活用していく方向だろう」と述べた。

ドコモが大型M&A(合併・買収)など大胆な施策を打つのかも含め、今後の動向が注目される。

日刊工業新聞2020年11月10日

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