海外攻める中国鉄鋼業、鋼材市況の悪化招く?

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中国の鉄鋼関連企業の海外進出が加速している。日本鉄鋼連盟がまとめた報告書「中国鉄鋼業の最近の動向と構造調整の進捗(しんちょく)状況」によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国を中心に、生産能力ベースで合計3690万トンの建設計画と、1132万トンの稼働済み案件がある。欧州では790万トンのM&A(合併・買収)計画が進む。日本などの関係者は、中国の積極的な進出が当該国の生産能力の過剰、鋼材市況悪化につながらないか注視している。(取材=編集委員・山中久仁昭)

いずれの海外進出も中国の一帯一路政策の一環とみられる。中国鋼鉄工業協会は「貿易を巡る緊張緩和に寄与し、中国の国際市場シェア維持に資する」との見解を示す。

建設計画はASEANのほか、南アジアやアフリカにも及び、内訳はマレーシアが北京建龍重工集団などによる計1430万トン、フィリピンが攀華集団などによる計1000万トン。インドネシアとミャンマーが各400万トン、バングラデシュが200万トン、カンボジアとジンバブエが各100万トン、インドが60万トンといった状況だ。

稼働済みはインドネシアが青山鋼鉄などによる計550万トン、マレーシアが広西盛隆冶金集団などの計420万トン、ベトナムが150万トンのほか、アフリカのタンザニアが12万トン。

M&Aは英国が450万トン、セルビアが220万トン、マケドニアが120万トンだった。このほか、ブラジルとカンボジアに中国からの移設計画分計2610万トンがあるという。

一方、中国鉄鋼業界は国内の生産能力について、大規模な削減には踏み込まない方針だ。ただ、新規設備を導入する代わり、既存設備を廃棄する「能力置換政策」をルール通りに進めて、能力の拡大を防ぐとしている。

新設予定の製鋼能力(2017年以降)は3億472万トン、淘汰(とうた)予定は3億5130万トン。設備が集積する河北省などから、広東省、広西壮族自治区、福建省など沿海地域への能力移転が計画され、20年には8753万トンの能力を持つ高炉が稼働予定。

中国企業の政府支援による海外進出には、世界の鉄鋼過剰能力を議論する「鉄鋼グローバル・フォーラム」が大きな関心を寄せている。31カ国・地域などが参加して、10月下旬にウェブ形式で開かれた閣僚級会合でも議論された。

同フォーラムは構造的な能力過剰の解消に向けた多国間の枠組み。現在、中国などが不参加とあって、早期の復帰や、需要に見合う生産への是正を求める声があったという。

日刊工業新聞2020年11月3日

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鉄鋼 中国

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