日系商用車メーカー、インドネシアで「オンライン販売」広がる
新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せないインドネシアで、日系商用車メーカーによる新車のオンライン販売が広がっている。日野自動車が7月、同国最大の電子商取引(EC)サイト内にオンラインストアを開設し、すでに36台のトラックを販売した。同じECサイトで、三菱ふそうトラック・バスも9月にオンライン販売を始めた。インドネシアの商用車市場は日系メーカーが約98%のシェアを占める。新型コロナの影響で需要が落ち込む中、非対面のニーズに対応して販売力を向上する。(日下宗大)
日野自と三菱ふそうがそれぞれオンラインストアを開設したのはECサイト「トコペディア」。3人に1人のインドネシア人が利用すると言われる。
日野自は9月段階で、商談予約登録が数百件に上った。同社は新型コロナの感染拡大前からオンライン販売を計画していた。現在は試行段階で今後の展開は検討中だ。
三菱ふそうは、過去に海外でオンライン販売をしたことはあるが、コロナ禍を理由に開始したのはインドネシアが初めて。専用ストアで注文したトラックは、配送または店頭受け取りを選択できる。オンライン販売に対応する販売店は22社。北スマトラ州や西ジャワ州など同国8地域で三菱ふそうの販売店の85%にあたる。
インドネシア市場は日系商用車メーカーの牙城だ。三菱ふそうは50年間、商用車市場のシェアトップで、1―8月のシェアは48・7%だった。車種別のシェア(2019年度)では小型トラックは三菱ふそうが、中型は日野自が首位だ。
しかし圧倒的な強さを誇るものの、足元では新型コロナ感染拡大による経済活動の停滞から需要が後退している。
日野自の20年第1四半期(4―6月)のインドネシアにおける販売台数は前年同期比約7割減の1498台だった。今まで日本に次ぐ第2位の販売台数だったが、米国(1991台)やタイ(2115台)を下回った。
ウィズコロナにより非接触やソーシャルディスタンス(社会的距離)のニーズが高まっている。コロナ禍の中、日野自や三菱ふそうはオンラインを活用して拡販する考えだ。