メーカーへの出資も多い“自動車の住商"、今度はエンジニアリング事業に参入
住友商事は、自動車エンジニアリング事業に参入する。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)など次世代技術への対応などで自動車の開発コストが急増する中、新会社を設立して課題解決に最適なプランや必要なリソースを提案する。住商では日系自動車メーカーの研究開発費が2018年の3兆円レベルから25年には5兆円レベルまで高まると想定。住商における自動車エンジニアリング分野で25年度に数百億円の売り上げを目指す。
住商は全額出資子会社「SCオートモーティブエンジニアリング」を都内にこのほど設立し、月内に立ち上げる。自動車メーカーや部品メーカー、車載品メーカーからニーズを引き出し、共同で開発にあたる。住商のグローバルネットワークを活用するほか、複数のエンジニアリングサービスプロバイダー(ESP)企業との協業も視野に入れる。
自動車の快適性の評価項目であるNVH(騒音・振動・ハーシュネス)を意識したエンジン開発や車両の軽量化といったテーマのほか、自動車ソフト開発の国際標準「オートモーティブSPICE」対応など、グローバルな開発プロセスの導入などの案件を見込む。
海外での実験・評価や、海外委託(オフショア)では新興国企業と連携し、より安価に開発したいといったテーマにも対応する。
住商は自動車関連事業で、ブレーキ部品メーカーのキリウ(栃木県足利市)や浅間技研工業(長野県小諸市)を傘下に持つなど、国内外で自動車部品・完成品の製造や、部品トレード、アフターサービス事業を手がける。
今回、自動車エンジニアリング事業への参入を通じ、開発の請負領域までカバーすることでバリューチェーンの強化につなげる。
日刊工業新聞2020年8月21日