日立はシニア研修、キヤノンは職種転換…製造業で「学び直し」促進のなぜ?

デジタル人材不足に既存リソース活用 不可欠

 製造業でデジタル変革(DX)に向けて社員の学び直し(リカレント教育)を推進する動きが活発だ。日立製作所は2020年度から中堅以上のシニア向けデジタル技術研修を始める。キヤノンは22年までに工場の自動化で生じた余剰人員の職種転換により、ソフトウエア技術者を大量育成する。住友化学もデータサイエンティストなどの人材確保に注力する。国内はデジタル人材の絶対数が不足しており、既存リソースの活用が有効な手段となりそう。

 日立製作所は人材育成子会社の日立アカデミー(東京都台東区)を中心に、20年度の開始を目指して中堅・ベテラン社員向けのDX研修カリキュラムを作成している。21年度までに若年層を含むデジタル対応力強化に向けた教育量(人・日単位)を従来比で50%増やす。注力するIoT(モノのインターネット)共通基盤「ルマーダ」事業の世界展開を担う人材育成を急ぐ。

 キヤノンは既存社員の職種転換を進め、22年までに品質検査を含むソフトウエア技術者を計370人育成する。18年10月に本社近くに新設した教育施設を活用し、人工知能(AI)やIoT、クラウドサービスなどの研修を充実させる。工場の省力化を図る一方で事務機器など製品の競争力に直結するソフト開発体制を拡大する。

 住友化学は21年度をめどに計170人のデジタル人材を確保する。育成対象の内訳は全社のデータ解析を指揮するデータサイエンティストが20人、生産や研究開発現場で統計解析を行うデータエンジニアが150人。プラントの運転自動化や設備保全の負担軽減、材料開発の効率化を先導するデジタル人材が今後不可欠となることに対応する。

 政府が18年にまとめた試算によると、20年に先端IT人材が5万人、一般IT人材が30万人不足する見通し。30年にはその2倍の60万人が足りなくなるという。DX時代のデジタル人材育成・確保競争は業種の垣根を越えて激しくなるばかりだ。

<関連記事>
企業のデジタル人材不足をサポートする日立のIT子会社

日刊工業新聞2019年9月16日(総合1)

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。