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ニッポンの産業革命の原点を知ろう!明治時代に製鉄・製銅・造船はどう立ち上がった?

ニッポンの産業革命の原点を知ろう!明治時代に製鉄・製銅・造船はどう立ち上がった?

幕末から明治にかけた産業国家への成長の軌跡を紹介

産業日本の勃興、知る

内閣府の「産業遺産情報センター」は2015年、世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を紹介する。鹿児島市の旧集成館反射炉跡、岩手県釜石市の橋野鉄鉱山など8県11市の23資産を網羅。産業がどのように形成、確立されていったのか、パネルや映像、ガイドの解説を通じて理解できる。

同センターは国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が日本政府に「(個々の資産にとどまらず)歴史全体も理解できる展示戦略」を求めたのを受け、全国の情報を集約・発信する拠点として整備された。

3月末に開設したがコロナ禍で休館し、6月中旬から一般公開。これまで約1200人が訪れた。遺産群は1850年ごろの「試行錯誤による挑戦」、続く「西洋からの科学技術導入」、1910年までの「産業基盤確立」に大別され、7面ディスプレーに関連画像が映し出される。

7面の大型ディスプレーに国内各地の産業遺産が映し出される

製鉄・製鋼コーナーで紹介する橋野鉄鉱山には日本最古の洋式高炉跡が現存する。大砲の鋳造に適した銑鉄を供給するため、1858年から翌年にかけて盛岡藩士の大島高任がオランダ書を基に建設し、従来の「たたら製鉄法」からの転換を図った。「鉄鉱石が採れたことが大きく、大量生産に踏み出せた」。加藤康子センター長は原材料の安定的調達がモノづくりに欠かせないことを強調する。

1901年、現在の北九州市八幡東区に創業した官営八幡製鉄所は伊藤博文首相の下、膨張した鉄鋼需要と素材産業の国産化要請から開設された経緯が分かる。さらに大島高任の息子、道太郎を技監とし、ドイツ企業に設計・施工を託した点が興味深い。銑鋼一貫製鉄所を生み出したダイナミズムがうかがえる。

ほかにも「軍艦島」と呼ばれる長崎市の端島炭坑などに関する語り部の証言が話題になっている。加藤センター長は「自治体や産業界の熱意で登録、開所にこぎつけた。豊富な一次資料の存在を知ってほしい」と話す。

【メモ】▽開館時間=10―17時▽休館日=原則として土日、国民の休日、12月29日―1月3日▽入館料=無料。ガイド付きの時間限定ツアーのため事前予約が必要。ツアーは1日3回実施▽最寄り駅=都営大江戸線「若松河田駅」▽住所=東京都新宿区若松町19の1総務省第2庁舎別館内▽電話番号=0120・973・310
日刊工業新聞2020年10月23日

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