今年のCEATECはオンライン開催! ニューノーマルの社会課題を解決する技術が集結

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ユーフォニックはウェブ上でVR空間を共有

“超スマート社会”実現へ

国内最大の電機・情報通信技術の総合展示会「CEATEC(シーテック)2020オンライン」が20―23日に開催する。新型コロナウイルス感染拡大の影響により史上初の完全オンライン開催だ。超スマート社会「ソサエティー5・0」の実現とニューノーマル(新常態)な社会の課題解決に向けて、幅広い業界からソリューションが集まる。

シーテックは今回で21回目。356社・団体が出展を申し込んだ。会期中の来場目標数は過去最高規模の20万人以上。時間や場所を選ばず参加できることから、来場者層は従来よりも幅広くなる見込みだ。シーテック実施協議会の鹿野清エグゼクティブプロデューサーは、19日のオンライン記者会見で「今回は新たな総合展を目指す取り組み。完全オンライン開催を成功させ、知見を今後に生かしたい」と意気込んだ。

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今回のテーマは「ニューノーマル社会と共に歩むシーテック」。企業や大学・研究機関の出展エリアでは、非接触・非対面や密集の回避、自動化などに関する出展が相次ぐ。カンファレンス企画では、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を手がける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのエリック・ユアン最高経営責任者(CEO)が20日に登壇予定。ニューノーマル一色の今回は、参加者や展示内容の多様性が目立った前回とは対照的だ。

目玉の一つが、今後の社会や生活を支える技術・ソリューションが集まる“ニューノーマルテーマエリア”だ。60以上の企業・団体が技術開発やまちづくりなど、さまざまなニューノーマルに対する取り組みを紹介する。喫緊の課題を踏まえたこれらの展示は、そう遠くない未来の社会を映し出している。

防災/LIXIL、スマホから施錠確認 竹中工務店、人の流れ可視化実証

LIXILはIoT(モノのインターネット)技術により玄関ドアやシャッター、家電製品などをスマートフォンから遠隔操作できるシステム「LifeAssist(ライフアシスト)」を出展する。外出先で玄関ドアのカギをかけ忘れたか不安になった際に、スマホから確認して施錠できる。ゲリラ豪雨が発生しそうな場合は、窓に取り付けたシャッターを閉めることが可能だ。

スマホから玄関ドアやシャッターを遠隔操作できるLIXILの「ライフアシスト」

竹中工務店は、ソサエティー5・0に向けた「まちづくり」の実証例など紹介する。人の流れなどのビッグデータ(大量データ)を活用し、災害などに対する空間改善の事例や、会員制交流サイト(SNS)のデータから町の状況や人のニーズを可視化するツール「ソーシャルヒートマップ」を出展。建築とモビリティーの未来を描く、高度なIoT技術と人工知能(AI)を活用した施設「EQ House」などの展示で取り組みを紹介する。

情報通信研究機構は「感染対策と社会経済活動を両立するAIおよびビヨンド5G」として、災害時にSNSで情報提供などを行う防災チャットボットやAI同時通訳、高齢者介護のための音声対話システムなどを紹介する。AI同時通訳は実証実験として、ヤマハと共同でコンファレンスの一部のチャンネルにAIによる日英の自動翻訳字幕を導入する。ビヨンド5G(いわゆる第6世代通信〈6G〉)に関する研究も披露する。

医療・健康/ユカイ工学、ロボで非接触交流

アルプスアルパインは、国内初展示となるタッチレス操作パネルを出展する。独自開発の高感度静電容量センサーが約10センチメートル離れた位置から手の存在を検知する。独自のアルゴリズムなどで手・指とセンサーの距離やジェスチャーに応じた多彩な操作を非接触で可能とした。

医療・介護など特に衛生面への配慮が必要な現場や「触れない」「触りたくない」ニーズに応える。非接触とスイッチ操作ができるタッチレススイッチなども紹介する。

ユカイ工学(東京都新宿区)は、ニューノーマルエリアの非接触・遠隔コミュニケーションゾーンで、双方向通信ができるコミュニケーションロボット「ボッコエモ」と、同ロボットを活用したビジネスプランを紹介する。コロナ禍で対面接客が制限される中、視認性が高いロボットを使ったオフライン接客や、販売プロモーション支援活動などを提案する。住生活では遠隔地にいる高齢者と家族との、ロボットを介した会話のやりとりなどを提案し、受注につなげる。

ユカイ工学の「ボッコエモ」

埼玉県は県内企業など3社とともに、先進技術の実装に向けたオープンイノベーションの取り組みを紹介する。高齢化や人手不足など社会課題の解決やニューノーマル社会で求められる技術・製品を出展する。

ステンレスアート共栄(埼玉県富士見市)は秩父市で取り組む小型無人搬送車の実証概要を、RDS(同寄居町)は未病対策に資する歩行解析ロボットをそれぞれ紹介。アバターイン(東京都中央区)は医療現場をサポートする技術を訴求する。

働き方/CTC、サイバー空間で作業工程再現

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、機械設備や人、作業工程などをサイバー空間上で再現するデジタルツインソリューションを出展する。設備から稼働状況のデータを収集し、AIとシミュレーション技術を活用することで、設備異常の即時予測と、最適な生産計画の算出を実現する。

CTCの科学システム本部では「近年、製造業ではデータ活用など、攻めのIT需要が高まっている」としている。コロナ禍ではリモートでの対応が求められることも後押しとなり、デジタルツイン技術の活用がさらに進むとみる。

東日本高速道路(NEXCO東日本)は、近未来のインフラマネジメント2点を出展。準天頂衛星を用いた除雪運転支援システムは、数センチメートル単位でロータリー除雪車の位置を正確に表示し、雪深い地域での安全な排雪作業を支援する。アニメーションと実車で解説する。またインフラ老朽化や労働力不足に対応するため、技術者の知見と情報通信技術(ICT)の分析力を融合させた「スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)」の取り組みを紹介する。

NESI(茨城県ひたちなか市)は、個人情報の保護に役立つインテリジェントカードホルダー「四方八方」を出品する。電気制御で瞬時に白濁する透明な機能性フィルムを活用。収納したIDカードや身分証の表示と非表示を自由に切り替えられる。

近距離無線通信「ブルートゥース」でスマホに接続して操作できる。スマホとの接続が切断した時間や場所を記録することで、カードホルダーの紛失や盗難を防ぐ機能も搭載している。カードホルダーの新たな価値を提案する。

カードホルダーの表示と非表示の切り替えはスマホで操作。NESIが提案

エンタメ/太陽誘電、無線でランニング支援

太陽誘電は、自社のブルートゥース対応無線通信モジュールが採用されたスマートシューズ「ORPHE TRACK(オルフェ トラック)」を出展する。

no new folk studio(東京都千代田区)が開発した効率の良いランニングフォームをサポートする商品。専用センサーをセットした専用シューズで、走行中のペースや、歩幅などのデータを収集する。

そのデータはリアルタイムで分析され、その場で音声によるアドバイスが受けられる。データ分析とアドバイスは専用ソフトウエアをダウンロードしたスマホで行う。

ユーフォニック(東京都新宿区)は、ウェブブラウザー上で仮想現実(VR)を共有できるサービス「キューブ」を提案する。試用版だが「対面接触が難しい状況が続く中、仮想現実を活用したい」という声に応えようと出展を決めた。

2021年春の発売に向けて、ユーザーの声を反映させたい考え。顔認識技術を使ったスマホ向けゲームアプリケーション「フェイスメア」も出展し、新しい対話の形を探る。

日刊工業新聞2020年10月20日

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