ステージ上には本人不在!?リアルを「完コピ」する新体験バーチャルライブ

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ディスタンス・ビューイングのデモンストレーション

ヤマハは、音楽アーティストのライブを仮想的に再現する次世代ライブビューイングシステムを開発し19日、都内で初披露した。実際のライブをまず記録し、その後、その映像や音響を照明演出とともにライブハウスなどのステージで忠実に再現する。一度のライブを何度も”再利用”することが可能だ。リアル会場での仮想ライブには一定の集客力があるとみて、ライブハウスなどにシステム利用を提案する。

同社が開発したのは「Distance Viewing(ディスタンス・ビューイング)」。 楽器や歌の生音と、PAの操作データを大型スピーカーで再現し、そこに照明や映像を組み合わせることで、本当にライブを見ているような体験を実現した。
 同社デザイン研究所の柘植秀幸主事は「最もこだわったのは音質。家庭での視聴を想定したオンラインライブ配信では音量も音質も限界があるが、ライブハウスであれば、映画館でのライブビューイングでも味わえない本番さながらの迫力ある音が楽しめる」と胸を張る。

音楽ユニット「ORESAMA」がパフォーマンスを披露した

また、同社のリモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD(リモートチアラー・パワード・バイ・サウンドユーディー)」との連携も可能。オンラインで仮想ライブを視聴する観客がリモートで会場に声援を届けられる機能も用意し、歓声もリアルに再現できるようにした。
 「今、ライブのオンライン配信で足りないのは『迫力ある音質』と『双方向性が薄いこと』。この2つを解決できるソリューションになれば」(柘植氏)。

現在はライブハウス「ビーツシブヤ」(東京都渋谷区)のみでの提供だが、今後は賛同するアーティストやライブハウスをつのり、イベントを実施していく。チケット代にシステム手数料を含めるビジネスモデルを想定する。
 新型コロナウイルス感染症拡大により、多くのライブハウスがライブの入場者数を減らしており、収益が厳しくなっている。ヤマハは、ディスタンス・ビューイングを活用し、仮想的に上演回数を増やせば動員回復につながるとみる。また、生身のアーティストでは公演数が限られ、移動にも制約があるが、システム化することで繰り返し上映が可能。感染リスクも抑えられる。

ただし、「オンライン配信とも、ライブとも違う『新感覚のバーチャルライブ』のため、体験しなければ(良さが)伝わらないのが課題」(柘植氏)。今後は著名アーティストとのコラボレーションなども計画し、PRにも力を入れていく。

日刊工業新聞2020年10月20日

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

ライブは音と映像だけじゃなく、さまざまな要素で成り立つ特別なもの、身体的な体験だと改めて実感しました。ディスタンス・ビューイングはまだまだこれからの技術です。でも、一瞬、本当にアーティストがステージ上にいるかのように感じた瞬間があり、鳥肌が立ちました。亡くなった方、解散したアーティストの公演が実現したらと思うと、期待が膨らみます。

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