ジュークボックスを蘇らせる職人に注文が殺到している

  • 0
  • 2
自社で購入し、修理をしたジュークボックス。岩田技術主任(右)が修理作業を担う

音の良さ、若い人に伝える

電気製品の卸売りや電気工事を行う岩田電機通信(川崎市多摩区、岩田融二社長、044・944・9753)は、約3年前からジュークボックスの修理事業を始めた。レコードやCDを内蔵し、硬貨を入れてボタンを押すと、好きな曲が流れるジュークボックス。米国で誕生し、1970年代にかけて日本でも多くの飲食店やホテルに設置された。しかし修理ができる職人は減っている。

修理は岩田社長の次男で事業を提案した岩田大二技術主任が1人で手がける。元々電気工事の技術に強みを持つ同社だが、ジュークボックスの修理に必要な技術は木工技術やコンピューターなど多岐にわたる。そこで自社でジュークボックスを購入。岩田技術主任はメーカーで修理をしていた職人に教わり、1年ほど修行した。

既に生産していない部品も多く、時には部品を米国から取り寄せることや、小さな金属部品は汎用旋盤で製造することもある。ほかにもジュークボックス内の蛍光灯を発光ダイオード(LED)に置き換えるなど、変更できるものは最新技術のものに替える。

動かないジュークボックスをインテリアとして置く人もいる中、「使えるジュークボックス」としてよみがえらせる。同社の技術を見込んで多くのマニアや店舗からの注文が後を絶たないという。

真空管のジュークボックスはライブ演奏に近い音を体感でき、ダンスホールなどで使われた。岩田技術主任は「若い人たちにジュークボックスの音の良さや、古いモノの良さを知ってもらいたい」と話す。最近では地元の工業高校と連携し、設計に関心のある学生にジュークボックスの修理を体験してもらう活動も進めている。

アンティークの需要は一定数あり、「米国では骨董(こっとう)品の市場が伸びている」(岩田社長)。同社では「顧客の不便に応える」ことを軸に、ニーズがあればジュークボックス以外ヘの事業の拡大も視野に入れる。(川崎・大串菜月)

日刊工業新聞2020年8月28日

関連する記事はこちら

特集