改良された「COSMOS」業界初、加工から追い込み加工まで一貫サイクルが可能に
碌々産業(東京都港区、海藤満社長、03・3447・3421)は、微細加工向けに機上3次元測定・追い込み加工システムを開発した。加工対象物(ワーク)の3次元測定、誤差補正プログラムの作成、追い込み加工までを微細加工機上で一貫で行える。加工後の寸法測定の際にワークの取り外しや再段取りの工程が不要となる。微細加工の高精度化とともに、歩留まり向上や加工時間の短縮を実現する。
開発した「COSMOS」は碌々産業の微細加工機に搭載するシステムとして、2020年末に市場投入する。また21年1月に静岡工場(静岡県焼津市)でセミナーを開催し、実演を交えて同システムの導入効果などを訴求する。
機上にワークを取り付けたまま、加工から3次元測定、補正プログラム作成、追い込み加工まで一貫サイクルで対応するシステムは業界初という。
微細加工機で加工したワークに対して、自動洗浄により油膜を取り除いた後、機上で測定。測定結果に基づき、形状精度の追い込み支援ソフトウエアを使って加工プログラムを再計算し、追い込み加工を行う。これにより、測定時のワークの取り外しに伴う再段取りが不要となる。
マイクロメートル級(マイクロは100万分の1)の精度を要求される微細加工では、たとえ機械がプログラム通りに正確に動いても、切削工具のたわみや摩耗の影響で、図面通りの形状に加工できないケースがある。誤差を修正するために従来はワークを取り外して3次元測定器で精度を測り、追い込み加工をしているが、測定後の再段取り時に芯がずれ、さらに誤差が生じるなどの課題があった。
日刊工業新聞2020年10月16日