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ドコモだけじゃない!ソニー、ファミマ、東芝…親子上場の解消が進む理由

「親子上場」の解消が相次ぐ中で、NTTが上場子会社NTTドコモの完全子会社化を発表した。買収額は国内企業へのTOB(株式公開買い付け)として過去最大規模。経営の効率化やガバナンス(企業統治)強化の観点から親子上場の解消は今後も続きそうだ。

親会社と子会社の少数株主との間に利益相反が発生する親子上場は批判の的となってきた。経済産業省によると50%以上を保有する支配株主が存在する上場企業数は日本は海外と比べ高水準で、海外投資家からの批判が根強い。政府は昨年閣議決定した「成長戦略実行計画」で上場子会社のガバナンスに関する指針を公表、東京証券取引所は指針に沿って独立性の基準を見直した。例えば過去10年以内に親会社に所属していた人は上場子会社の独立社外取締役らになれないようにした。

制度変更を背景に親子上場の解消が相次ぐ。ソニーは今月、金融子会社のソニーフィナンシャルホールディングス(SFH)を完全子会社化。ソニーの吉田憲一郎会長兼社長最高経営責任者は「SFHとソニーが持つ経営資源をフル活用できる。グループ全体のさらなる企業価値向上につながる」としている。親子上場は、少数株主に配慮して上場子会社の経営資源が活用しづらいというデメリットがあるがそれが解消され、経営の効率化を享受できる側面もある。

8月には伊藤忠商事がファミリーマートに対して実施したTOBが成立したと発表。同社を非上場化し意思決定の迅速化を目指す。東芝も上場子会社3社をTOBにより完全子会社化。車谷暢昭社長は「東芝グループの企業価値の最大化の観点から決めた」という。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「日本の親子上場はガバナンス強化の観点から減少を続けている。今後も解消の流れが続く可能性が高い。コロナ禍で企業内再編による事業のスリム化や効率化に向けての動きもある」と話す。

「世界規模での研究開発推進が必要」

NTTは29日、上場子会社のNTTドコモを完全子会社化すると発表した。一般株主が持つ約34%の株式をTOB(株式公開買い付け)で取得する。買収額は約4兆2500億円。完全子会社化により意思決定を速め、経営の効率向上や海外事業強化などを図る。

TOB期間は30日から11月16日。必要な資金の大部分は金融機関からの借り入れでまかなう。完全子会社化の完了時期はTOBの結果により異なるが、早ければ年内の見通し。

ドコモは海外の通信事業者などと組み、第5世代通信(5G)をはじめとする無線ネットワークのオープン化や高度化を図る「O―RANアライアンス」を推進してきた。NTTはこうした海外展開の加速を狙う。またNTTコミュニケーションズやNTTコムウェア(東京都港区)の機能のドコモへの移管を検討し、グループ会社間の連携強化も模索する。現在上場しているNTTデータの完全子会社化はしない。

29日、澤田純NTT社長は「世界規模での研究開発推進が必要。それにはグループ横断での意思決定迅速化が不可欠」と述べた。

日刊工業新聞2020年9月30日

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