フェローテックが世界初の「蛍光磁性流体」、何ができる?
フェローテックホールディングス(HD)を中心とするフェローテックグループが持つ液体にも関わらず磁石に引き寄せられる「磁性流体」や電流で加熱や冷却が可能な素子「サーモモジュール」の高い技術は、私たちの生活、感性、そして産業に新たなソリューションと刺激を提供する。
画期的な「蛍光磁性流体」とは
同グループは磁性流体として初めて発色機能を持つ「蛍光磁性流体」を開発した。色鮮やかに発色しながら形を変え動いていく液体で、黒から赤、赤から黒といったように黒色と特定色へと自在に色を変えることができる。蛍光磁性流体は新たな産業活用やアートなど芸術分野で存在感を示しそうだ。
磁性流体は同グループのコア技術の一つ。主に半導体製造装置に使用する真空シールやスピーカーなどに用いられる。蛍光磁性流体は普段は一般の製品同様の黒色だが、特定の波長を持つブラックライトを照射することで発色する。照射中は発色をし続け、止めると黒色に戻る。磁力に反応する性質を損なわずに均等な蛍光色を発し、油をベースとしたものでは多様な発色を実現した。
圧倒的発色を体現
磁力に反応して針状に形を変える「スパイク現象」や、磁力によって変幻自在に流れていく磁性流体はこれまでもアート作品に用いられることもあったが、蛍光磁性流体ではさらに均等で安定的な黒から特定色への変色が加わった。磁性流体の表現力はより増し、より芸術的感性を刺激するインパクトが備わったといえる。
発色機能は産業用途でも磁性流体の活用の幅を広げる。視認性の向上は探傷検査に有用だ。例えばセラミックスなどの板に蛍光磁性流体を塗布し、反対側から磁力で引きつけることで微細なピンホールや傷が検出可能になる。高度な技術により生み出された発色機能は同グループの製品と、類似の粗悪なコピー品の判別にも役立つ。外観では判別が難しい磁性流体だが発色機能により明確に外観的判別ができるようになる。
決め手は高度な技術力
従来、色付きの製品は市場に存在していたものの、磁性流体に着色顔料を加えて色付けしただけであり、磁力に作用した際に黒色が混ざってしまうなどの課題があり、恒久的な着色は困難だった。同グループではブラックライトで発色する染料について、磁性流体のベースとなる液体に溶け込ませる発想と高い技術力によって安定した発色を実現した。油ベースでは液体部に各色の染料を組み合わせることで既に多様な発色を実現する。今後は環境に配慮する顧客や時代のトレンドに対応し、水ベースでの開発も同様に進める予定だ。
「機能性材料は新製品が少ないので、発色という新たな機能の付加は大きな発明。多様な用途が考えられる。ユーザーの皆様に有効に活用してもらえれば」(フェローテックマテリアルテクノロジーズ営業本部の広田泰丈部長)と、自信を持って新製品をアピールする。従来の密封機能や動力伝達、熱輸送といった用途に加え、発色により顧客の問題解決に新たなアプローチを仕掛ける。
EVなどの車載用モジュールにも注力
水ベースで不燃性の感温性磁性流体の開発など磁性流体をリードする同グループは、電気自動車(EV)や自動運転をサポートする車載用デバイスにも力を注ぐ。感温性磁性流体も省電力化が求められるEVの冷却水の代用品としての用途が期待されている。
また、EVや自動運転の開発が進むに伴い、自動車にはセンサーなど多くの電子デバイスが搭載される。自動運転に用いられるカメラのCMOSセンサーやレーザーレーダーには温度管理が必要だが、それらは主に自動車のルーフ部分に設置されており、配管が通せず水冷が難しい。同グループが世界トップシェアを持つサーモモジュール(ペルチェ素子)がこの問題を解決する。冷熱素子であるサーモモジュールは直流電流を流すと対象物を温めたり冷やしたりでき、各デバイスの温度管理に適している。
サーモモジュール製造技術を応用した放熱用絶縁基板回路基板ではインバーターなど大電力を扱うパワー半導体用に、新製品となる窒化ケイ素のAMB(Active Metal Brazing)基板の量産を開始した。小型化・省エネ化に寄与し、今後の成長が期待される。
EVや自動運転化に伴い、インバーターの高出力化や自動車同士の通信やセンサーなど搭載する機器は増え、安全性や電力消費の面からもそれらの温度管理はさらに重要度が増してくる。「次世代自動車のシステム開発に初期段階から携わり、新しい自動車の仕組みに役立ちたい」(フェローテックマテリアルテクノロジーズ営業本部の二ノ瀬悟グループ長)と、同グループの製品が新たなソリューションを提供していく。
半導体や芸術分野、近未来型の自動車を支える温度管理など、同グループの技術と製品は多様な業界に革新の種をまく。
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