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神棚づくりの技能融合M&A、吉武工務店が宮匠永田神器を買収 

吉武工務店(大阪府東大阪市、吉田丈彦社長)は、神棚を製造する宮匠永田神器(大阪市福島区)を買収した。同社から全株式を譲り受け、吉田社長が両社社長を兼務する。宮匠永田神器は1932年創業で、匠(たくみ)の技や標準生産を強みに大手企業などへ納めている。吉武工務店と一体化して相乗効果を生み、宮匠永田神器の売上高約1億円を2022年8月期には2億円に倍増させる計画。

宮匠永田神器は職人3人で特注の神棚も手がける。閑散期に作り置きしてコストを抑え、利益率の高い経営を保ってきた。しかし、永田克之会長(前社長)は後継者がいなかったため、M&A(合併・買収)仲介企業に譲渡先の紹介を依頼していた。

一方、吉武工務店も自社施工を貫き利益率が高く、住宅や事業所の新改築を関西で展開している。宮匠永田神器は金融機関を通じ紹介された。事業拡大につながると判断し、買収に踏み切った。買収額は明らかにしていない。

吉武工務店は多くの中小企業経営者とネットワークを持つ東大阪などで、事業所の拝礼用に神棚を訴求したい考え。宮匠永田神器が受注した神棚の簡易な建築工事や既存の神棚の修繕、解体なども自社の事業に取り込む。両社の技能を融合するため、宮匠永田神器に技能者1人を転籍させた。

吉田社長は「神棚の仕事がなくなることはない。作れる会社は減っているので、残った宮匠永田神器に注文が集まり、伸びしろはある。売上高を倍増し、ITを導入して経営も効率化したい」と意欲を示す。

宮匠永田神器の2代目に当たる永田会長は「3、4年前から後継者探しで悩んでいたが、よい縁をいただき事業を続けられる」としている。

日刊工業新聞2020年10月14日

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