医療関連を得意とした翻訳サービス業者、事業拡大に狙った分野で赤字が拡大し倒産へ

新日本翻訳センター、「特許」で躓く

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フリーランスの翻訳家に業務委託することで多数の言語翻訳に対応したが(写真はイメージ)

新日本翻訳センターは、2002年2月に設立された翻訳サービス業者。メディカル関連を中心に産業分野の契約書やマニュアルなどの翻訳サービスを展開していた。フリーランスの翻訳家に業務委託することで多数の言語翻訳に対応し、大手薬品会社などに営業基盤を構築。コンスタントな受注を獲得し、10年には約3億円の年商を計上するまでに成長していた。

その後、業績が安定してきたことに伴い、さらなる事業拡大を目指して特許部門の翻訳を専門とするパテントシップを13年8月に設立。2社で事業を拡大していくことを見据えていた。

しかし、ここで計画に誤算が生じる。パテントシップの業績は赤字が続き、新日本翻訳センターの利益を相殺してしまう。加えて納期短縮やレイアウト構成改良など付加サービスの向上に人員を割いたが、他社との価格競争があり受注単価を上げられず、新規顧客開拓もおろそかとなり、年商は10年間伸長せず、3億円内外で推移。20年1月期は約2億9600万円にとどまっていた。

その間、人件費の増加や取引先からの値下げ要請、翻訳者の報酬について行政から改善指導されたことで利益率も低下。従業員や取引先を引き留めるために多額の接待交際費を投じたものの、売り上げ拡大にはつながらず、16年からは営業損失を計上するなど赤字を散発していた。

その後も業績は回復せず、税金の未払いで大口取引先の売掛金に対し行政から差し押さえを受けたことで従業員の給料や外注先に対する報酬の遅配が発生。社員の士気低下を招き、中堅社員や営業を担っていた取締役らも相次いで退職する悪循環に陥っていた。

さらに20年に入ると新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年間で最も書き入れ時となる2―3月の受注が低迷。売り上げ回復の見通しが立たなくなり、4月22日に事業を停止。6月23日、2社ともに大阪地裁へ自己破産を申請した。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2020年10月13日

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