自足自給の自然エネルギーのみで動く!東京湾に滞在中の船はシンボルに
CO2排出ゼロ船、日本に寄港
「太陽光」「風」「海水からつくった水素」の3種の自然エネルギーを動力に航行する船が東京湾に滞在している。スイスの環境保全団体「レース・フォー・ウオーター財団」が、海洋プラスチックゴミ問題の啓発のために建造した船だ。ゼリ・ジャパン(東京都品川区)のプロジェクトとして寄港した。
停泊中の船内に入ってみると、太陽光パネルの発電量や電力消費量などを知らせる計器があるくらいで、特別な装備は見当たらない。ただ、全長35メートルの甲板に出ると太陽光パネルがびっしりと敷き詰められていた。
船はパネルで発電した電気でモーターを駆動させて航行する。夜間は蓄電池に充電した電気を利用。充電が減ると、海水から製造した水素を燃料電池に投入して発電する。自動制御で姿勢を保つカイト(たこ)をあげて風も推進力にしており、二酸化炭素(CO2)排出ゼロで航行する。
船は2017年4月、世界一周を目指してフランスを出発した。20年2月に沖永良部島(鹿児島県)に到着していたが、新型コロナウイルス感染拡大もあり、日本の滞在期間が延びている。この機会を生かし、日本の多くの学生や企業人にも環境問題を啓発してほしい。
日刊工業新聞2020年10月2日