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植物性原料でヒトの皮膚・皮下組織再現、医療用シミュレーターとは?

【宇都宮】デュプラス(宇都宮市、福田一夫社長、028・660・0581)は、自治医科大学などと連携し、植物性素材を使用した医療用シミュレーターを開発する。練習の際に用いる模型で、竹の繊維を綿状に加工した新たな素材を主原料とするほか、複数の植物性原料を配合してヒトの皮膚や皮下組織を再現する。再現性が高く、環境にも配慮したのが特徴。同大学で試作品の評価試験を進めて改良に取り組んでおり、2021年中の製品化を目指す。

新たな人工皮膚模型は皮膚の弾力性や保湿性などを再現するほか、メスを入れると皮下組織から血液を模した液体が染み出るようにする。自然由来の原料で製造することで、使用後は焼却ゴミとして処分できるようにするなど、環境面や管理のしやすさに配慮する。

既存のシミュレーターに使われる皮膚模型はシリコン製が中心で、価格が数万円する製品もあるという。海外の調達ルートを活用し製造コストを抑えて「1セット3000円前後での販売を想定している」(福田社長)。

電子機器・部品の設計開発が主力事業のデュプラスが製造委託する現地工場を活用。主原料や部材などを中国から仕入れ、国内で人工皮膚模型の成形や製品組み立てを行い出荷する計画。

今回の開発は産学官金連携を支援する栃木県の補助金事業に採択された。今後は製品化に向けて評価試験と並行し、要素技術の特許取得などを進める。

日刊工業新聞2020年10月2日

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