モリモト医薬がマスク・消毒液・防護服を販売、中国から輸入の狙い
モリモト医薬(大阪市西淀川区)は、感染症対策製品を投入した。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、中国から独自に仕入れたマスク、消毒液、防護服などを安価で国内に販売する。日本で検品し、返品保証するなど品質管理を徹底。10月に販売サイトを開設する予定で、より多くの個人や企業が入手できる態勢を整える。
服薬で革新
モリモト医薬は錠剤や粉薬をゼリーと混ぜて飲みやすくする服用支援ゼリーなどを手がける。「服薬イノベーション」を掲げ、医療や介護の現場ニーズをくみ取り、製品開発してきた。新型コロナの感染拡大を受け、原料などの調達先である中国から感染症対策製品の輸入に乗り出した。
盛本社長は2005年の同社設立前、武田薬品工業の中国・天津市にある現地法人で工場長を務めていた。今回、中国で築いた人脈や現在の事業基盤をフル活用した。国内で新型コロナの感染が拡大し出した当初、従業員向けにマスクを大量に調達したのを機に、外部販売へ踏み切った。
「何をどこから調達すればよいか分からない人を支援したい」(盛本社長)と奮い立ち、マスクなど感染症対策製品の仕入れ販売を始めた。その後、医療用の「N95マスク」、消毒液、防護服、フェースシールドなどラインアップを拡充した。製品のパッケージや日本語の取扱説明書は社内で企画・製作。返品保証を付けて安全・安心を確保する。
個別販売
介護施設やデイサービスにおける介護者の中には不十分な感染対策の結果、感染して重症化する事例が多発していた。そこで同社は製品の個別販売に加え、マスクや消毒液、防護服といった一連の製品を介護施設向けなどにパッケージ化。今後は「要介護者が身内にいる人にも訴求したい」(同)としている。
手探りながらも全社を挙げて事業を立ち上げるさなか、人の縁にも支えられた。7月の豪雨で被災した熊本県には、夏用マスクや非接触の体温計を届けた。防災・減災活動に取り組む団体から受けた連絡がきっかけだった。「被災者支援の最前線で活躍するボランティアとのつながりを得て、困っている人へ確実に製品を届けたい」(同)との思いが原動力だ。16年4月に発生した熊本地震を受け、服用支援ゼリーを提供した当時から地域との結びつきを保つ。
20年7月以降、感染が拡大した沖縄県向けにも防護服や医療用マスクなどを70施設以上に配布した。以前、学会で名刺交換した人と連絡を取り合い、実現した。「在庫がある限りを梱包(こんぽう)資材に詰め、何とかお盆休み前に配送できた」(同)と胸をなで下ろす。医療機関や企業、一般消費者など感染症対策製品の購入件数は約1000件にのぼる。
手頃な価格
10月に専用の電子商取引(EC)サイトを開設。利用者がアクセスしやすい環境を整える。盛本社長は「社会貢献事業として、最適な物資を手頃な価格で提供したい」と話す。(大阪・中野恵美子)