ブーム到来? JAXAが認めた「宇宙日本食」

ラーメンからようかんまで、全44品目が認証

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日清食品の宇宙日本食

野口宇宙飛行士が携行

日本の食が宇宙へ―。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在予定の野口聡一宇宙飛行士が携行する「宇宙日本食」を認証した。今回認証したのは44品目で、カップラーメン、レトルトカレー、柿の種、サバ缶、ようかんなど多岐にわたる。各メーカーは長い年月をかけて厳しい審査を乗り越え、味や安全性を高めた製品を、宇宙に送り出す。(高屋優理)

カップラーメン・柿の種・サバ缶…ソウルフードずらり

宇宙日本食は2004年にプロジェクトがスタートし、これまでに45品目を認証している。JAXA広報部の山本邦正氏は「宇宙日本食は通常の宇宙食とは別に、嗜好(しこう)品として携行を許されるもので、ISSに滞在する宇宙飛行士の好みなどを聞いて決める」と話す。このため、日本人にとってソウルフードというような、なじみ深いものが並んでいるのが特徴だ。

【最多品目】

今回認証を受けた中で、最も品目数が多いのが日清食品。日清は従来の即席カップめん「日清スペースカップヌードル」に加え、新たに即席袋めん「日清スペースチキンラーメン」、即席カップ焼きそば「スペース日清焼そばU.F.O.」、インスタント食品「日清スペースキーマカレーメシ」「日清スペースハヤシメシ」が認証された。

日清は創業者の安藤百福氏が「宇宙食を開発したい」と強い思いを持っていたことから、01年からJAXAと共同開発を進め、世界初の宇宙食ラーメン「スペース・ラム」を開発。07年に宇宙日本食としてカップヌードルが認証された。今回認証されたU.F.O.は、野口宇宙飛行士からの希望を受けて開発したという。

麺は小麦粉やでんぷんの配合を工夫することでISS内で給湯可能な70度Cのお湯でも湯戻しが可能。また、麺が飛び散らないように湯戻し後も形状を保持する一口大の塊状麺を採用した。スープやソースも粘度を高めて飛び散らないようにするなど、無重量空間で安全に美味しく食べられるように、細心の注意を払っている。

【効率的栄養摂取】

同じく、JAXAから依頼を受けて申請し、認証されたのが、森永乳業の大人向けの粉ミルク「森永ミルク生活(宇宙用)」だ。ミルク生活はラクトフェリンやビフィズス菌など機能性成分を配合した粉ミルク。エントリーから、2年半かけて取得にこぎつけた。

森永乳業「森永ミルク生活(宇宙用)」

宇宙飛行士の毛利衛さんは「無重量空間では骨からカルシウムが溶け出してしまうため、カルシウムの摂取は課題になっていた」と指摘。効率的な栄養の摂取に役立つほか、宇宙には液体の携行が限られるため、粉末である点も適していたようだ。森永乳業の兵働仁志常務執行役員は「宇宙でも健康になってもらいたい」とアピールした。

【認証取得に4年】

キッコーマンの「キッコーマン宇宙生しょうゆ」も初めて携行品として認証された。キッコーマンは約4年をかけて認証を取得。宇宙空間を想定した使用テスト、保存性の確認、容器材質の安全性確認などJAXAの細かな要請に対応。実際に宇宙に携行するものと同じ中身、容器、包装の状態でサンプルを作り、温度や気圧などの条件を変えて保存試験を実施した。

キッコーマン宇宙生しょうゆ

調味料ではキユーピーが「マヨネーズ」で認証を受けた。マヨネーズは宇宙日本食が初めて携行された07年から認証されており、キユーピーは13年間、提供を続けている。キャップとボトルには面ファスナーを装着し、使用時にキャップをボトルに貼り付けたり、宇宙船内に貼り付けたりできるようにすることで、無重量空間でも扱いやすいように工夫している。

毛利さんは宇宙での食生活について、「宇宙食は従来、米国、ロシアのものが多く、口に合う物ばかりではなかった」と明かす。現在、15カ国の宇宙飛行士がおり、滞在期間も長くなっているため、安全を担保しながら、さまざまな国の食文化に合わせていく必要がある。毛利さんは「日本食は海外での認知度も上がっており、日本人クルーだけでなく、他の国のクルーも喜んでくれるのではないか」と話す。日本人に愛され続けてきた食品が、宇宙で日本食ブームを起こす可能性がありそうだ。

日刊工業新聞2020年9月22日

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