V6ツインターボに6速MT...新「フェアレディZ」は日産のブランド再生につながるか

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オンラインイベントで説明する内田社長と「フェアレディZ プロトタイプ」

日産自動車は16日、新型スポーツ車「フェアレディZ」のプロトタイプ(試作車)を公開した。2008年以来の改良で、21年内の発売を予定する。業績低迷で構造改革を進める同社だが、スポーツ車をコアモデルと位置付け投資を継続する。新型車の投入でブランド価値の向上を図り、同社全体の販売台数の底上げにつなげる。(西沢亮)

「ドライバーが主役のピュアスポーツカーとして世に送り出す。Zは日産のDNAそのもの。事業構造改革でも重要なモデルだ」。日産の内田誠社長は同日開いたオンラインイベントに、襟のないラフな格好で登場し、新型Zへの熱い期待をこう表現した。

7代目となるZはボンネット部分が長く、1969年に発売した初代をほうふつさせる形状を採用する。V6ツインターボエンジンや6速手動変速機(MT)などを搭載。デザインはほぼ固まり、今後、運転性能などを調整して仕上げる。

初代Zは60年代半ば、当時の片山豊米国日産社長(故人)が、中古車レースを楽しむ人たちを見て、手ごろなスポーツ車の開発を直訴。優美なデザイン、スポーツ車では珍しく93万円(現在の300万円台後半に相当)からの価格帯、広い荷室による実用性などから米国を中心に大ヒットした。その後は市況悪化もあり00年に4代目で生産を中止したが、02年に当時のカルロス・ゴーン社長らが経営危機に陥った日産復活の象徴として5代目を再投入した。

現在の日産は21年3月期の連結当期損益で6700億円の赤字(前期は6712億円の赤字)を見込むなど苦境にあえぐ。立て直しに向け、工場の閉鎖や商品ラインアップの削減などを盛り込んだ23年度までの構造改革計画を5月にまとめた。その中で「グローバルに魅力と競争力を発揮できるモデル」(内田社長)として、電気自動車(EV)と共にスポーツ車にも投資を集中する方針を示した。

スポーツ車はデザインや技術を含め自動車メーカーの存在を体現し、ブランドイメージを醸成する役割を担う。またスポーツ車の開発に憧れて入社するエンジニアも多く、社員の士気を高める側面もあるという。Zは販売台数への貢献で多くは望めないが、ブランド価値の向上など復活を目指す同社にとって期待は大きい。

日刊工業新聞2020年9月17日

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