日本未発売、トヨタ「カローラクロス」はアジアの救世主になるか

人気のSUVで激化する競争に挑む

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「カローラクロス」(トヨタタイランド公式インスタグラムより)

トヨタ自動車が東南アジアで、多目的スポーツ車(SUV)の拡販に乗り出している。7月に世界的な知名度を誇る「カローラ」のSUVモデル「カローラクロス」をタイで世界初投入したのを皮切りに、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどでも販売を始めた。同地域では乗り心地の良さに加え、悪路の走行性に優れるSUVの需要が拡大している。トヨタは新型車の投入で、激化するシェア争いを優位に進める構えだ。

グローバルモデルであるカローラの派生車種の初投入先に東南アジアを選んだことからも、同地域におけるトヨタのSUV戦略の本気度がうかがえる。7月にタイで初披露したのもつかの間、8月にはインドネシア、ベトナム、フィリピンなどに市場投入した。

販売価格はインドネシアで約330万―約360万円、ベトナムで約330万―約420万円、フィリピンで約280万―約360万円にそれぞれ設定。各国で増加する中間層などをメーンターゲットに、旺盛な需要を取り込む。

プラットフォーム(車台)には新設計手法「TNGA」を採用し、快適な乗り心地と高剛性なボディーを両立。排気量1800ccエンジン搭載のハイブリッド車(HV)仕様とガソリン車を用意した。同クラスの車種で最大級の荷室スペースを確保したほか、レーントレーシングアシスト(追従ドライブ支援機能)など、安全装備も充実させた。

東南アジアは日系自動車メーカーで販売シェアの約8割を占める主戦場。SUV販売をめぐる各社のつばぜり合いも、激しさを増している。三菱自動車はSUVの要素を盛り込んだミニバン「エクスパンダークロス」をインドネシアやベトナムなど4カ国で展開。ホンダやダイハツ工業も海外専売車を投入している。日産自動車は5月に、独自のHV技術「eパワー」を搭載した「キックス」をタイで発売すると発表した。

トヨタはカローラで培ってきた信頼性や品質の高さなどを訴求するほか、インドネシアやタイではサブスクリプション(定額制)サービス「KINTO(キント)」にも対応。「販売手法の多様化で顧客のニーズにきめ細かく応える」(トヨタ)考え。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費意識の低下を受け、東南アジアの新車販売は依然として冷え込みが厳しい。トヨタの7月の販売実績も、主要国のインドネシアで前年同月比58・9%減の1万1625台、タイで同31・9%減の1万7553台と苦戦が続く。カローラクロスなど戦略車の積極投入で、需要回復時の反転攻勢に備える。

「カローラクロス」の生産現場(公式動画より)
(取材=名古屋支社・長塚嵩寛)
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日刊工業新聞2020年9月11日

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