株主から改革の指導力不足を指摘された日産社長、「私が100%リードしている」
29日に横浜市内の本社で定時株主総会を開いた日産自動車。内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は2020年3月期連結決算が巨額赤字に陥り、期末配当を無配としたことについて「株主の皆さまには大変申し訳ない」と陳謝。その上で23年度までの事業構造改革計画について「不退転の決意で進める」とし、業績不振に陥る現状から成長軌道に戻す意欲を示した。
株主からリーダーの曖昧さを問われ、23年度までに生産能力を18年度比約2割削減などを盛り込んだ構造改革計画について「私が100%リードしている」と強調。2月の臨時株主総会で業績が改善方向に向かわない場合は解任してほしいとした自身の発言を問われ「その考え方に全く揺るぎはない」とし改めて覚悟を示した。
21年3月期連結業績予想を未定としたが、販売台数の見通しについては複数のシナリオを持っていると指摘。先行きが不透明な中で部品メーカーに対し「中長期的なシナリオを見せることが急務になっている。台数のいくつかのシミュレーションをベースに連携を密にし、今後も強化していく」と述べた。
今後も注力する日本市場については電気自動車(EV)の新型スポーツ多目的車(SUV)「アリア」を7月15日に発表すると明言。電動化と先進運転支援技術を搭載するアリアは「日本を皮切りに世界で投入し、新しい時代の日産の顔としてブランドをけん引する」と期待を示した。
復配について自動車事業のフリーキャッシュローの黒字化などが最低限のハードルと指摘。その「フリーキャッシュフローの黒字化は遅くとも21年度の下期を目指しており、早期に株主還元を再開できるよう努力する」と理解を求めた。