どうしてスイッチを押せば機械が動く? 知ってるようで知らないシーケンス制御の話

おすすめ本の抜粋「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいシーケンス制御の本」

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 生産設備の設計者、自動化設備の設計者の強い味方として、ロングセラーを誇る書籍を多数執筆している熊谷英樹氏。熊谷氏の最新作『必携「からくり設計」メカニズム定石集 Part2 ―図でわかる簡易自動化の勘どころ―』の発行を記念し、今日から3日間、熊谷氏の人気書籍『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいシーケンス制御の本』(共著)と、『必携 シーケンス制御プログラム定石集 Part2 ―機構図付き―』、『必携「からくり設計」メカニズム定石集 Part2』の一部を紹介します。
 初日は『トコトンやさしいシーケンス制御の本』から、「スイッチの直列接続と並列接続」についてです。スイッチのつなぎ方の基本を、イラストを多用しわかりやすく解説します。

スイッチの直列接続と並列接続

複数のスイッチを使った動作を見てみましょう。
 図1のように押しボタンスイッチを2つ直列に接続すると、両方のスイッチを押さないと電球には電気が流れないので点灯しません。このようなスイッチの接続をAND接続とか直列接続と呼びます。ANDは論理演算のANDです。

図1 a接点のAND接続(イラスト 榊原 唯幸)

図2のように2つのスイッチを並べてつなぐと、少なくともいずれか片方のスイッチを押せば点灯するようになります。このようなスイッチの接続をOR接続とか並列接続と呼びます。
 このように、複数のスイッチを使うと、そのつなぎ方次第で、どのような操作をしたときに電球を点灯するのかという、条件付けができるようになります。

図2 a接点のOR接続(イラスト 榊原 唯幸)

図3は2つのスイッチを直列に接続して両手を使ってスイッチを操作しないと、ブロワのモータが回転しないようになっています。

図3 両方のスイッチを押さないと回らないブロア(イラスト 榊原 唯幸)

図4はどちらのスイッチを操作しても緊急警報が鳴るような並列配線になっています。

図4 どちらのスイッチでも鳴る警報機(イラスト 榊原 唯幸)

図5は1つの電灯の点灯と消灯を階段の上と下の2つのスイッチで切り替える回路の例です。この切り替えには、2個のc接点のスイッチを使います。この絵の状態でコンセントにプラグを差し込むと、電灯は点灯します。そして、1階スイッチか2階スイッチのいずれかを切り替えると、消灯するようになっています。その状態で、さらに1階スイッチか2階スイッチのいずれかを切り替えると、また点灯します。

図5 1つの電灯を2つのスイッチで切り替える回路(イラスト 榊原 唯幸)

このほかにNOT回路も記述できます。NOT回路は、否定になります。a接点のNOT回路はa接点と反対の動作をすることになりますから、b接点ということになります。

このように、スイッチの接続によってAND、OR、NOTという基本の論理回路が実現できることになります。シーケンス制御は、スイッチの論理演算の機能を使って機械を制御する方法なのです。

※a接点のスイッチ:操作をすると、接点が閉じて電気が流れるスイッチ
 b接点のスイッチ:操作をすると、接点が開いて電気が止まるスイッチ
 c接点のスイッチ:a接点とb接点の両機能を持ち、電気の流れを切り替えることができるスイッチ

●スイッチを直列接続するAND回路
●スイッチを並べてつなぐ並列接続するOR回路
●1つの電灯を2つのスイッチで切り替える

(「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいシーケンス制御の本」より一部抜粋)

<書籍紹介>
身の周りにある家電や機械などの機能、動作を裏で支えているシーケンス制御。本書は、シーケンス制御を数式や難解な用語の使用を極力避け、イラストや図表を使ってわかりやすく解説する。シーケンス制御を構成する機器(スイッチ、センサ、出力機器など)も取り上げる。

書名:今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいシーケンス制御の本
著者名:熊谷英樹、戸川敏寿
判型:A5判
総頁数:160頁
税込み価格:1,540円

<販売サイト>
Amazon
Rakutenブックス
Yahoo!ショッピング
日刊工業新聞ブックストア

<著者>
熊谷 英樹(くまがい ひでき)
1981年 慶應義塾大学工学部電気工学科卒業
1983年 慶應義塾大学大学院電気工学専攻修了、住友商事株式会社入社
1988年 株式会社新興技術研究所入社
現在、株式会社新興技術研究所 専務取締役、日本教育企画株式会社代表取締役、神奈川大学非常勤講師、職業能力開発総合大学校非常勤講師、高度職業能力開発促進センター講師、山梨県産業技術短期大学校非常勤講師、自動化推進協会理事
※発行時(2012年)の内容を記載

<主な著書>
『必携 シーケンス制御プログラム定石集―機構図付き』日刊工業新聞社
『新・実践自動化機構図解集―ものづくりの要素と機械システム』日刊工業新聞社
『ゼロからはじめるシーケンス制御』日刊工業新聞社
『絵とき「PLC制御」基礎のきそ』日刊工業新聞社
『使いこなすシーケンス制御 (現場の即戦力)』技術評論社 など多数。

戸川 敏寿(とがわ としひさ)
1993年 職業訓練大学校(現職業能力開発総合大学校)電気工学科卒業
1997年 関東職業能力開発促進センター電気・電子科講師
2001年 沖縄職業能力開発促進センター電気設備科講師
2008年 青森職業能力開発短期大学校制御技術科講師
現在、青森職業能力開発短期大学校制御技術科職業能力開発准教授
※発行時(2012年)の内容を記載

<主な著書>
「すぐに役立つ Visual Basicを活用した計測制御入門」共著、日刊工業新聞社

(執筆協力)
金城 芳雄(きんじょう よしお) 1987年 琉球大学工学部機械工学科卒業
1989年 九州大学大学院総合理工学研究科修了
現在、沖縄県立工業高等学校教諭/工学博士
※発行時(2012年)の内容を記載

<目次抜粋>
第1章 身近にあるシーケンス制御
シーケンス制御って何?「シーケンス制御はリレーを使った制御方法」/シーケンス制御の目的「シーケンス制御は動作を順番に実行していく制御」/シーケンス制御の3つの制御パターン「機械を思い通りに順序よく動かすには」/スイッチの直列接続と並列接続「スイッチのつなぎ方の基本」

第2章 リレーの使い方を学ぶ
電磁リレーの構造「電気の力で切替えを行う電磁リレー」/リレーの簡単な使い方「小さなスイッチで大きな電気の入り切りをする」/リレーの簡単なイメージとJIS記号「リレーを回路図に記述する」

第3章 PLCのしくみと使い方
PLCって何?「リレーを使った論理回路がプログラムでつくれる装置」/なぜPLCが機械装置の制御に使われるのか「自動化装置のほとんどがPLCで制御されている」/リレー制御とPLC制御の違い「リレーより省配線のPLC」

第4章 シーケンス制御に使うアクチュエータの制御方法
ソレノイドの動き方「電気エネルギーを直接機械械運動に変換」/ソレノイドの配線と制御「ソレノイドの制御の仕方」/空気圧シリンダの動き方「空気圧シリンダのしくみ」

第5章 センサ入力を使ったシーケンス制御
センサって何?「物理量を検出し電気信号に変換して制御に使う」/接触センサを使ったワークの判別「センサを動かしてワークの有無を検出」/光電センサの使い方「ワークに触れずに有無検出」

第6章 PLCのデータ処理と高機能ユニット
データメモリーの使い方「PLCは数値データを格納するメモリーをもつ」/数値データ演算の応用例「PLCはマイコンのようなプログラミングも書ける」/高機能ユニットとは「PLCの機能を拡張する増設ユニット」

第7章 シーケンス制御の実際例
ソレノイドを使ったワークの自動供給装置「ソレノイドを応用したワークの自動供給装置」/空気圧シリンダの往復制御「ソレノイドバルブをPLCに接続してシリンダを制御」/モータを使った送りねじの往復制御「送りねじの往復制御をするラダープログラム」

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