副業・兼務の解禁から4年、ロート製薬流で進めるキャリア支援

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副業制度では、幅広い業態で社員が活躍。地ビールの醸造に取り組む社員も

個を磨く、副業・社内兼務

【キャリア開発】

社外での副業、社内での兼務を通じて個人としての成長を促す。それがロート製薬が進める、「ロート流」の働き方だ。同社が副業・兼務を解禁したのは2016年2月。その後も個人のキャリア開発を支援する環境づくりに努めている。

「当初こそ労務管理面などでの懸念が生じたものの、全社で抵抗なく受け入れられた」と、山本明子人事総務部副部長は副業制度をスタートした当時を振り返る。制度設計のきっかけは、人事制度改革のための「ARK」プロジェクト。「明日のロートを考える」から頭文字を取った。生産や開発など多部門に所属する20―30代の若手社員が中心となって議論し、ベンチャー精神の気概や行動力を備える人材育成を目指して発案した。

正社員を対象とした社外での副業制度「社外チャレンジワーク制度」、そして社内での兼務制度「社内ダブルジョブ制度」。どちらも16年2月に制度を立ち上げた。現在、約1500人いる社員のうち、副業を持つのは約80人。地ビールの醸造や、プログラミング教室の開催、デザイン会社の運営など、多くの社員が、幅広いさまざまな事業で各人の能力を発揮している。

【“ジム通い”】

一方、社内では生産部門の社員が営業部門を掛け持つなど、通常の人事異動ではあまり例がない部門間での兼業も実現し、経験の幅を広げる機会となっている。「仕事の合間にジムに通うのと同じ感覚で、収入のためではなく自己を高めることを目的としている」と山本副部長。社内外を成長の場とし、多様な技術・知見を持った社員がイノベーションを起こす。そのような循環が回り始めた。

【応援制度】

5月には、日々の歩数やスポーツ、非喫煙など健康的な習慣に応じて社員に付与する社内通貨「アルコ」を用いて副業プロジェクトを応援できる体制も新たに整備した。事業に賛同した社員からアルコを募り、集まったアルコは事業資金として活用できる。現在は4プロジェクトが事業化に向けて動きだした。これらプロジェクトの成果は、個々の事業の成否だけにとどまらない。同社では、ロート製薬への帰属意識や働く意欲の向上といった本業にもつながると期待している。

背景にあるのは、自立した個人が、あらゆる局面において会社の成長エンジンとなりうるという考え方だ。コロナ禍にあって、それぞれの事業を継続するかどうかも、個人の判断を尊重する。山本副部長は「若い世代は入社後どう成長できるかを重視している。個人のウェルビーイング(幸福)やキャリア開発に着目した制度改革に踏み込む」と展望を描く。

日刊工業新聞2020年9月15日

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