コロナ禍で増加、プログラミングの「オンラインメンター」とは?

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メンターの太田和樹氏。オンライン作業用に部屋を整えた。通信回線や手書きボードなど教えやすく工夫する(太田氏提供)

コロナ禍では遠隔で働ける仕事としてプログラマーが再注目された。プログラミングを始めたり、人工知能(AI)技術などの先端領域を目指す人が増えている。企業の人材育成ではオンラインの学習環境を整えることが重要だ。在宅と出勤が混ざった勤務体制でも学んでいける。(取材・小寺貴之)

「4―5月は昨年の倍に受講生が増えた」とキラメックス(東京都渋谷区)の樋口隆広社長は手応えを得る。同社はオンラインのプログラミング学習サービスを展開する。

個人向けと法人向けの両方が伸び、ユーザーが倍になった。普通の会社はコロナ禍で急きょオンラインの教育体制を整えようとしても難しい。学習サービス会社が受け皿となった。

同社は受講生一人ひとりに指導役となるメンターを配置する。受講生のわからない部分をフォローし、悩みを聞いて学習意欲を引き出す。メンターは600人から800人に増えた。樋口社長は「技術だけでなくコミュニケーションスキルを持つ人を採用する。採用担当者がかなり奮励している」と説明する。

このオンラインメンターという職種もコロナ禍で人口が増えた。働き手のスキルアップを手伝い、IT社会で転職や副業などの労働移動を支えている。

太田和樹氏もその一人。本業はシステムエンジニアマネージャーだ。副業で2017年からメンターをしている。メンターの仕事を始めて、受講生のモチベーションに心を配るようになった。なぜ学ぶのか、受講生と目標を共有して学習計画におとす。この経験は本業のプロジェクトの進捗管理にも役立っている。人に教える経験を生かし、AIの入門書も出版した。

太田メンターは「メンターという仕事が、自分のキャリアアップにもつながっている」と目を細める。コロナ禍のような急場しのぎの副業でなく、人に教える経験自体が本業や執筆に生きている。

コロナ禍で人材育成の場がオンラインに広がった。ここでは学ぶ側と教える側の両方に成長のチャンスがあり、会社の枠をこえてキャリアが紡がれている。

日刊工業新聞2020年7月7日

COMMENT

小寺貴之
編集局中小企業部
記者

仮にコロナ禍で職場のコミュニティーが薄まると、家庭や趣味、学びなどのコミュニティーが存在感を増します。家庭はいつか必ずけんかになるので、趣味や学びが、ふわっと心の隙間を埋めていくことになります。これはコミュニティー型のサービスにとっては商機といえます。オンラインのメンターもコミュニティーの新しいハブになるかもしれません。押しつけでなく、困ったときに頼られるポジションは取り合いになるかもしれません。

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