気候変動対策の閣僚級会合、提案した日本への評価は?

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各国の閣僚らとオンライン会合に臨む小泉環境相(手前)

日本が議長国を務め、新型コロナウイルスからの復興と気候変動対策を話し合う閣僚級会合が3日、オンライン形式で開かれた。100近い国と地域が参加し、2020年では最大規模の環境分野の会議となった。日本が「環境先進国の復権」を目指して臨んだ会合を振り返る。

コロナ後の気候変動対策を協議

会合は3日夜、東京都内の会場と各国閣僚の執務室などをオンラインで結んで開かれた。小泉進次郎環境相は会場の巨大スクリーン越しに海外の参加者に話しかけたり、閣僚の発言を聞いたりした。

オンライン会合は日本が提案して実現した。コロナ危機からの復興において環境対策を置き去りにしないように国際的な結束を促す狙いで、国連も開催に賛同した。日本が気候変動分野の閣僚級会合で議長を務めるのは、1997年の京都市での気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)以来。

会合の成否は参加国数にかかっていた。環境省は同条約を結ぶ197カ国に参加を呼びかけていた。8月末に70カ国だった参加国は、会合が始まると96カ国に増加。中国やドイツ、英国などの閣僚級が顔をそろえた。

会合での各国からの発言も意欲的だった。英国代表は「今ほどグリーン技術が求められる時はない」との認識を示し、ルワンダ代表は「わが国は二酸化炭素(CO2)削減対策で雇用を生み出す」と表明。中国代表も循環型社会の構築や再生可能エネルギーの導入に触れ、「持続可能なグリーンな復興を達成する」と決意を語った。

気候変動問題をめぐる国際交渉の場として年末のCOPがある。各国の利害が激しく対立するが、それでも毎年一度、締約国が一堂に会することで温暖化阻止への機運を高めてきた。今年11月に開催予定だったCOP26は、コロナの影響で21年に延期となっていた。100近い国が参加したオンライン会合はCOPの空白を埋める役割を果たしたようだ。

日本、石炭政策の転換 世界に発信

オンライン会合では日本の気候変動対策の発信も重要なポイントだった。CO2を多く排出する石炭火力発電の増設計画がある日本は、環境対策に消極的と世界に映っていた。会合までに政府は、石炭火力の輸出支援策の見直しや旧式石炭火力の休廃止の方針を打ち出した。会合の冒頭、安倍晋三首相もビデオメッセージで「石炭政策を抜本的に転換していく」と表明した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長が会合に寄せたビデオメッセージで「日本が石炭火力の段階的廃止を早期化し、再生エネの割合を大幅に高めることを心から期待する」と述べており、石炭政策の転換は国際社会にも伝わった。他にも小泉環境相が50年のCO2排出ゼロを目指すと宣言した自治体が150を超えたことなどを世界に訴えた。

日本にとって初の試みとなったオンラインによる大規模な国際会合は無事に終えた。ブラジル代表が「良い取り組みを共有する場が大事」と語るなど、開催に謝意を表明する国も多かった。

高まった評価を維持することが“環境先進国・日本”の復権への道となる。

日刊工業新聞2020年9月11日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

キューバからもアフリカからも閣僚の生映像が登場した会合でした。スマホの自撮りと思われる閣僚もいて、新鮮でした。 COP26がない今年、いつ気候変動の特集を書けば良いのか、悩ましかったです。例年なら年末にかけて、ですが。利害の対立があり閉幕まで激しい攻防のあるCOPとは違いましたが、各国閣僚の声を生で聞けたのはオンライン会議ならではでした。

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