「未来の大人」高校生を応援して地域活性化につなげる
【日本の伸びしろ】
地域活性化の担い手として、高校生の活躍が全国で広がっている。一般社団法人「未来の大人応援プロジェクト」などが毎年夏に開催する「全国高校生SBP(ソーシャル・ビジネス・プロジェクト)交流フェア」は、活動発表や交流の場として、高校生たちの活動を後押ししている。
同法人の岸川政之代表理事(皇学館大学教授)は、「高校生の伸びしろは日本の伸びしろだ」と話す。学業の成績が高校生の全てではない。勉強以外にも輝けるステージがあれば、そこで自信を持って成長できる。また、高校生の成長に刺激を受け、周囲の大人たちが変わっていく。
同フェアは例年、三重県伊勢市で開催しているが、2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、オンラインでの開催となった。
オンラインでも高校生の熱量は変わらない。愛媛県の土居高校は、海外で人気の「盆栽」をテーマにした海外旅行者向け盆栽ツアープランを発表した。高校生が核となって産学官の地方創生ネットワークを構築しており、故郷の文化を継承することも狙いだ。交流フェアでは「盆栽たいそう」の英語版を披露し、会場を盛り上げた。
【広がる活動】
静岡県の浜松学芸中学校・高等学校と青森県の鰺(あじ)ケ沢高校は、共同で「浜松♡鰺ケ沢 胸キュン絆プロジェクト」を発表した。高校生が青春を感じる風景を撮影し、観光ポスターにするというもの。誰もが持つ青春時代の記憶を刺激し、共感を狙う。また自治体はポスター制作費用を圧縮でき、高校生は地元の魅力を再発見できるのも利点だ。発表した高校生らは「他校にも活動を広めたい」と笑顔で語る。
岸川代表理事は、「SBP自体は特別ではないが、発表して共有することが大事。他校をまねするのもいい」と話す。地元に合わせて工夫することで、プロジェクトは発展する。浜松学芸と鰺ケ沢の取り組みは、そうした広がりを感じさせる。
【大きな活力に】
今、少子高齢化が進む地域の普通科高校が定員割れを起こし、存続が難しくなってきている。SBPは当初「高校を町に残したい」という思いから始まった。地域活性化を通じて、高校生が地元愛や自分への自信を持って成長し、地域にとって欠かせない高校になる。そして大人になった時、さらに大きな地域の活力になる。
岸川代表理事は、「良くなりますよ、日本は」と語り、高校生の活躍に目を細める。全国各地の若いソーシャルビジネスの担い手が、日本を元気にする日は近い。