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試薬を使わずフォアグラを培養! 再生医療への応用も視野

試薬を使わずフォアグラを培養! 再生医療への応用も視野

研究試薬は一切使わず培養フォアグラの製造に成功した(調理イメージ)

インテグリカルチャー(東京都文京区、羽生雄毅社長、03・5925・8301)は、細胞を培養して作る「培養フォアグラ」の本格的な製造を開始する。大量かつ安価に動物細胞を培養できる独自システム「CulNet System(カルネットシステム)」で作る培養肉で、試作の製造に成功。首都圏に新たな培養拠点を設置する計画だ。2021年12月の販売を目指す。

食品原料を混ぜて培養液にしたことで、食べられる培養フォアグラの製造に成功した。研究試薬は使わず、安全性を確保した。

従来、幹細胞は研究試薬で増やしていた。培養肉を作ることはできたが、食品衛生法上食品として食べられるモノではなかった。

新拠点は2階建て個人商店程度の大きさを想定する。投資額は未定だが、数億円程度になる見込みだという。徐々にフォアグラの製造・販売規模を大きくし、他の肉の培養に取り組む。

羽生社長は「培養肉は、家畜を育てる際に発生する環境負荷を低減できる。安価かつ大量に製造できれば、世界的な食料不足にも対応できるだろう」と期待を込める。

カルネットシステムは、さまざまな種類の細胞を培養できる。ホルモンを供給する細胞を培養して組み合わせれば、体内と同じことを人工的に起こして培養肉を作れるという。

インテグリカルチャーでは肉にとどまらず、毛皮や再生医療で使う臓器などの製造も視野に入れる。

日刊工業新聞2020年9月1日

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