30年後を見据えて…金型業界のトップが考える「これからのモノづくり」

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日本のモノづくりが正念場を迎えている。市場のグローバル化、多発する天災など、これまで幾度もの苦難を乗り越えてきたところに、新型コロナウイルス感染症という新たな壁が立ち現れた。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)など技術革新への対応も喫緊の課題だ。塑性加工に代表されるモノづくりの基盤技術(サポーティングインダストリー)や、製造現場を支える機器・装置の業界団体トップに針路を聞く。

30年後見据えビジョンを

日本金型工業会会長・小出悟氏
―新型コロナの影響は。
「金型メーカーによって度合いが異なり、まばらな状態だ。例えば自動車ボディー向けのプレス金型では一部で繁忙がみられる。売れ行きにかかわらず、新車開発に伴って必要とされるからだ。反対に、エンジンなどの製造に使用するアルミダイカスト用の金型は、操業停止の影響が残っていると感じている」

―主要顧客の自動車業界が大きな変革期を迎えています。
「電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の技術開発とともに、ライドシェアなどの環境変化を受けて車づくりがどう変わっていくのか、という端境期の段階で新型コロナが重なり、方向性が見えづらい。じっと待つしかないが、30年後を見据えたビジョンを持ち、金型も新しい素材に対応できるよう、さまざまなシミュレーションをしないといけない」

―新たな需要開拓が求められています。
「金型メーカーは地域の客先に影響されることが多い。営業力を付け、海外のマーケットを持ってくるようなことも必要だ」

―足元で直面している課題は。
「人材に関する問題だ。求人募集をしても若者の応募が少ない。事業承継も課題。厳しい経営環境が続くと思われているせいか、後継者の確保で苦労している経営者もいるようだ。(人材が入ってくるようにするためにも)正しい価格で発注するような環境づくりが必要と感じている」(浜松・岩崎左恵)

【業界動向/医療関連、安定的な需要】

日本の金型業界は20人以下の中小・零細企業が約80%を占める。2019年の市場規模は約1兆5000億円。新型コロナの影響で2020年4月―21年3月は「1兆円を切るのではないか」(小出悟会長)との見通しが大勢だ。地域別にみると、関東地方で受注量を大きく落としたケースがみられる。自動車産業が集積する中部地方では増減の差が大きく、ある程度のボリュームで受注を取り込み、新型コロナ感染拡大の影響なく、操業するところもある。

型種別ではプレス型とプラスチック型が7割弱を占める。仕向け先は自動車関連が約75%、医療、建設、工作機械関連などが約25%。医療関連はコロナ禍でも一定の需要を確保し、安定しているという。

日刊工業新聞2020年9月1日

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