三菱電機製レーダー、フィリピン空軍が採用の意義
フィリピン空軍が2018年に着手していた警戒管制レーダーの選定作業で、三菱電機製レーダーの採用が決まった。受注総額は約1億ドル(約100億円)。該当レーダーは三菱電機が比空軍の要求に基づき新たに開発・製造するもので、日本から海外への完成装備品輸出では初案件になる。
今回、輸出が決まったレーダーは、固定式警戒管制レーダー装置3基と移動式対空レーダー装置1基の合計4基。河野太郎防衛相は日本製レーダーの採用が決まったことについて「防衛産業の強化にもつながる。防衛省として、今後も関係者への支援をきっちり行っていく」と述べた。
防衛装備品輸出は量産効果によってコストを引き下げ、欧米などより割高とされる日本の防衛産業の競争力の弱点をカバーする上で大きな意味を持つ。防衛省は14年4月の防衛装備移転三原則策定を受け、国際見本市への出展後押しなど輸出支援に取り組んできたが、ほとんどが実を結ばなかった。
■フィリピン特命全権大使、防衛相を表敬訪問
フィリピンによる三菱電機製警戒管制レーダーの採用決定を受け、河野太郎防衛相(写真右)は、同国のホセ・カスティージョ・ラウレル5世特命全権大使(同左)の表敬訪問を受けた。河野防衛相は「UH―1Hヘリコプター」部品の無償譲渡など、これまでにも防衛装備品協力が行われてきたことを指摘。「両国の防衛装備品協力の新たなマイルストーンになる。これを機に協力関係がさらに深まることを希望する」と呼びかけた。
日刊工業新聞2020年8月31日