次期戦闘機の開発は三菱重工と単独契約か。防衛省の狙い
日本主導のイメージを内外に示す
防衛省が2035年度に配備を開始する予定の次期戦闘機の開発で、政府が日本企業1社と単独契約する形で調整していることが明らかになった。主契約企業は三菱重工業になる見通しで、全体の設計や開発を総括し、共同開発に参加する国内や米英企業と調整する。次期戦闘機開発は数兆円規模の大型プロジェクトであるため、日本主導のイメージを内外に示すのが狙い。年末までに主契約企業を決定し、21年3月までに関係企業も含めた開発体制を決めたい考えだ。
F15やF4、F104などの航空自衛隊戦闘機はいずれも米国機のライセンス生産で、日米共同開発をうたったF2もエンジンは米国製。ステルス戦闘機のF35に至っては当初、米国製機体をまるごと購入する方式で、その後、国内組み立て方式に改められたものの、国内企業からは生産技術を維持できないとの危機感が強まっていた。
日本主導にすることで国内基盤の維持のほか、ミサイルやレーダーの性能向上に合わせて機体改修することも容易になるメリットがある。侵攻に備えるため次期戦闘機は幅広い領空に対応できる航続力や対艦ミサイル搭載能力などが要求され、米国製の機体をそのまま使うことはネックが多いばかりか、コスト増加の要因となる。
一方で、ステルス戦闘機の能力や電子戦能力は実戦を経験している米が数段進んでいるとみられ、国内企業がこれにどの程度、対応していけるかも今後の焦点になる。
日刊工業新聞2020年7月30日