「灘五郷」の酒造り再現、清酒の歴史が詰まった資料館

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白鶴酒造資料館。白米や米麹をすりつぶし、乳酸菌の発生を促している工程(酛仕込み=人形による展示)

兵庫県西宮市から神戸市の間に位置する「灘五郷」は古くから酒造りが盛んな地域として名高く、地理的表示(GI)に指定されている。白鶴酒造(神戸市東灘区、嘉納健二社長、078・822・8901)は、同地域の一つ「御影郷」で古くから酒造業を営んできた。清酒メーカーでトップクラスの売り上げを持つ同社が1982年に開館したのが「白鶴酒造資料館」だ。

大正初期に建てられた酒蔵を利用した「白鶴酒造資料館」

同館は大正初期に建てられた木造の本店壱号蔵を改造したもので前蔵と大蔵の二つの蔵から構成される。69年まで清酒の醸造で実際に使用された。

館内では江戸時代中期から昭和初期にかけての酒造りの工程をたどれる。洗米、蒸米から酒と酒かすを分離する上槽(じょうそう)、たる詰めまでの計10工程を、蔵人(くらびと)の姿を再現した等身大の人形を目にしながら体感できる。「それぞれの工程を実際に手がけていた場所で再現している。順路通りに見学してもらえれば、清酒が造られる過程が学べる」(高田昌和館長)としている。

95年の阪神・淡路大震災では前蔵は屋根が被害を受けた程度で済んだものの、大蔵が全壊。そこで97年に内部は鉄筋コンクリート造りながら、外観を昔と同じく復元して再建した。

2018年に初めてとなる大規模リニューアル工事を実施し、常設型のプロジェクションマッピングシアターを開設。灘の酒造りの様子をパノラマで見ることができる。

19年の来館者数は約15万人。うち約4割がベトナムや韓国などからの訪日外国人(インバウンド)が占めていた。「5、6年ほどは来館者数がずっと右肩上がりに推移していた」(同)という。

コロナ禍とあって営業を再開した6月の来館者数は前年同月比約9割以上の減少となった。それでも「来館者数が多くなり、見学ルートの動線確保がうまくできていなかった時もあった。売店の面積や品目など手を広げすぎた所を見直すよい機会かもしれない」(同)と前向きに捉える。

【メモ】▽開館時間=9時半―16時半(入館は16時まで)▽休館日=お盆、年末年始▽入館料=無料▽最寄り駅=阪神電気鉄道阪神本線「阪神住吉駅」▽住所=神戸市東灘区住吉南町4の5の5▽電話番号=078・822・8907

日刊工業新聞2020年8月21日

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