室内の快適感は心理状態が影響していた!三菱電機が空調分野のサービス開発に生かす
関西学院大学は三菱電機と共同で、室内環境における快適感の認知構造について解明した。快適か不快かという感覚は、体調や心理状態といった内的要因が強く影響しており、温度や湿度など物理的要因だけでは調整が難しいケースがあると科学的に明らかにした。研究結果を踏まえ三菱電機は、空調分野などで幅広い視点から新サービス開発に生かす考えだ。
人間の感性という論理的に説明が難しい反応を分析して商品設計などに生かす「感性工学」の観点から研究した。三菱電機先端技術総合研究所(兵庫県尼崎市)で働く社員にヒアリングし、想定外の要因を抽出しやすくした。それにより、疲れ・眠気など体調が悪い時や、緊張など心理的に不安定な時に、不快と感じやすいタイプの人がいることがあぶり出された。こうした内的要因も含めて、快適感の認知構造を分析したのは業界初という。
従来、空調機器などの快適性に関する指標としては、予想温冷感申告(PMV)のように、室内の温熱環境しか考慮されていなかった。PMVとしては快適とされていても、不快感を感じる層が一定数存在するなど、正確な評価が難しかった。
関西学院大学理工学部人間システム工学科の長田典子教授は「品質の評価において『個人の感想です』という表現に逃げることなく、いかに科学的なエビデンスを出すかが大事。それが日本のモノづくりを後押しすることになる」と、研究の意義を説明する。
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日刊工業新聞2020年8月19日