富士電機は供給網全体でリスクを洗い出す!加速するSDGs

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グローバルでSDGs推進に取り組む体制を敷く(富士電機・インド子会社の製造現場)

富士電機は企業活動全体で国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みを加速している。2020年6月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明した。また、同4月には地球環境保護に関する課題審議や施策評価を行う社内組織「SDGs推進委員会」を新設し、取締役会や経営会議を含む推進体制を整えた。SDGsを担当する富士電機執行役員の三吉義忠氏に今後の方針などを聞いた。

気候変動・自然災害―戦略に反映

―新たに「SDGs推進委員会」を立ち上げて社内の推進体制を整備しました。

「15年以降のSDGsやパリ協定採択、経団連の企業行動憲章改定を受けて、総合的にどう取り組んでいくかの基礎を19年に整理した。ちょうど19―23年度の中期経営計画を発表するタイミングだったので、中計のベースとなる企業の考え方を明確化した。20年度からその実行フェーズに入り、まず経営の中でPDCA(計画、実行、評価、改善)を回すために専門のチームが必要だと判断し、委員会を設置することにした」

―具体的な委員会の活動方針は何ですか。

「当面の目標は環境課題と社会課題について取り組んでいく。委員会の傘下に19年策定の『環境ビジョン2050』に関する環境ビジョン推進部会と、海外子会社などの管理・運営をテーマにした人権・人財活躍推進部会を設けて、それぞれ具体的な活動を始める。特にサプライチェーン(供給網)全体でリスクを認識しつつ、チャンスを整理することが大事だ」

―TCFD提言への賛同を表明しました。

「今後は財務影響の議論を委員会・部会に組み込んで、TCFDの検討を進める。当社の場合はエネルギー・環境事業を営んでおり、環境の切り口ではビジネスチャンスの方が圧倒的に多いものの、リスクも適正に考える必要がある。気候変動によるリスクは、やはり自然災害多発による事業継続計画(BCP)の問題が大きいだろう。サステナブルな企業を目指す上で、財務情報の開示が最終目的ではなく、経営戦略に反映させることが重要だ」

―今回の新型コロナウイルス感染拡大もサプライチェーンを大きく揺さぶりました。

「どういう地域から何を調達しているかをより可視化する必要がありそうだ。ただ、かなりハードルは高い。当社のモノづくりは原則地産地消で、中国から日本への持ち込みは限定的だ。一部は当然影響が出たものの、その影響を引きずらなかった。中国で売る製品は中国国内でつくり、部材もできるだけ中国で調達していた。各事業部門ではある程度見える化できていたが、全社としての対策は今後の課題となる」

富士電機執行役員・三吉義忠氏

【記者の目/独自の貢献に期待】

新型コロナウイルス感染拡大の影響で足元の業績は厳しい。ただ、主力のエネルギー・環境事業は国民生活を支えるインフラに関係し、一時的な需要減退でその重要性が変わるわけではない。腰を据えた戦略が求められるのはSDGs推進も同様だ。富士電機らしい独自の貢献に期待したい。(編集委員・鈴木岳志)

日刊工業新聞2020年8月14日

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