現役と同じ報酬!富士電機が新しい幹部再雇用制度導入へ
富士電機は、60歳の定年後も最大で現役時と同水準の報酬(給与・賞与)を得られる幹部社員向けの再雇用制度を4月に新設する。従来は報酬が60歳時点と比べて少なくとも20―30%減り、各人の業務・成果を十分に反映できる制度になっていなかった。メリハリを付けた処遇に見直し、シニア世代のやる気をより引き出すことで中長期的な企業競争力強化につなげる。
富士電機の新たな再雇用制度「シニアタスク制度」は課長職以上の幹部を対象にする。幹部社員数は現在、全社員の約2割。新制度では60歳以降で取り組む業務内容によって4段階のタスクレベルを設定する。
タスク1、2を部長職、3を課長職、4をスタッフ相当に区分し、1年ごとのタスクに応じて給与を決める。また、半期ごとの業績評価は賞与に反映する。社員によっては現役時代とほぼ変わらない報酬水準も可能になる。再雇用の上限年齢は従来の制度と同じ65歳まで。
従来の制度は、現役時に役職・業務に応じて割り振った10段階の等級を基に再雇用後の報酬が一律で決まり、社員間で差がつきにくい仕組みで、シニア層のモチベーション向上が課題だった。現在400人強いる再雇用社員についても等級からタスクへ切り替える。
富士電機には再雇用制度のほかに、部長職以上の幹部向けに定年延長制度もある。62歳まで定年を延長でき、60歳時点と同水準の報酬をもらえる。62歳以降は再雇用制度に移行する流れだ。
企業は65歳までの雇用機会の確保を法律で義務付けられ、定年延長、継続雇用制度(再雇用制度)導入、定年廃止のいずれかで処遇しなければならない。電機大手は再雇用制度が一般的だが、報酬は現役時より大幅に下がるケースが少なくない。その中で富士電機は、現役時と同水準の報酬が可能な新制度を打ち出し、今後の人材獲得競争でも優位に立ちたい考えだ。
●老舗重電メーカーに多角経営の成功モデルを見た
●これから重電メーカーはどうなるの?