伊藤園が静岡に大規模茶園、コスパは上がるか?
伊藤園は静岡県で耕作放棄地を活用した大規模な茶園造成に乗り出す。秋田製茶(静岡県袋井市)が協力して袋井地区の耕作放棄地を集約、造成し、伊藤園向けの専用茶葉として生産。伊藤園は「おーいお茶」などの飲料製品の原料として茶葉を全量買い取る。秋田製茶は現在、40万平方メートルの茶園を保有・管理しており、2040年をめどに100万平方メートルに拡大する。
秋田製茶は静岡県などと連携して、袋井地区に点在する耕作放棄地を集約、造成。茶園の大規模化で効率化を図りながら、生産量を拡大。伊藤園は秋田製茶に対し、飲料に適した茶葉の加工などを指導するほか、加工工場の建設を提案。経営全般をサポートする。静岡県は家族経営の小規模茶園が多いため生産効率が低く、茶の価格下落などもあり、年々収益性が悪化。生産者の高齢化と担い手不足が加速し、耕作放棄地が拡大している。19年の静岡県の茶の生産量は前年比12%減の2万9500トンと1951年以降初めて3万トン割れ。2位の鹿児島県が2万8000トンと迫り、20年は順位が入れ替わる可能性も高い。
伊藤園は宮崎県や鹿児島県など6県でも、地域の事業者や自治体などと連携する同様の手法で大規模茶園を展開している。茶園の面積は、20年度末に2000万平方メートルを超える見込みだ。
日刊工業新聞2020年8月7日