東大のサンゴ分布調査、ダイバー潜水の80倍の効率
東京大学の水野勝紀助教や多部田茂教授らは、海底を効率良く調査し、世界中の沿岸環境に重要な役割を果たすサンゴの分布範囲を調べる手法を開発した。水中カメラシステムを船でえい航し、海底を探査する実証実験を実施。ダイバーによる潜水調査の80倍、海中ロボットによる調査の5倍の効率で海底を探査し、サンゴの分布図を得られた。海洋開発や気候変動などが海洋環境に及ぼす影響を把握できると期待される。
水中用の一眼レフカメラ6台と専用のフレームから構成される「えい航式」の水中カメラシステムを作製。小型船でえい航しながら海底を撮影することで、短時間で広範囲の連続した海底写真を撮影できる。
沖縄本島から西に100キロメートル離れた久米島の沿岸域で実証実験を実施し、1時間当たり1万2146平方メートルを調査できた。さらに得られた3万枚以上の連続写真から高精細の海底の3次元モデルや2次元画像を作成した。
また、得られた画像データからサンゴの分布範囲を自動的に識別する人工知能(AI)を開発。写真1枚当たりの解析時間を手動での解析に比べ1万分の1以下の0・057秒に削減できた。
ウインディーネットワーク(静岡県下田市)や横浜市立大学、宮崎大学との共同研究。
日刊工業新聞2020年8月3日