コロナ禍で人材は質重視に、知人紹介のリファラル採用がアツい

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akippaで上野亜矢さん(仮名=右)は姉の美希さん(同左)の紹介で応募を決めた(同社提供)

非対面もミスマッチ少なく

新型コロナウイルスの感染拡大を機に採用活動で、従業員の紹介で知人や友人を選考する「リファラル採用」への注目度が中小・ベンチャー企業でも高まる。オンラインでの採用活動を余儀なくされる中、採用側と応募側のコミュニケーション不足が懸念される。リファラル採用は信頼する人の率直な意見を参考にでき、非対面のやりとりでも納得感を高められる。ミスマッチが少ない利点がある一方、注意点もある。(大阪・大川藍)

駐車場シェアリングサービスを手がけるakippa(大阪市浪速区)の上野美希さん(仮名)は社内で欠員が出た際、「人見知りな妹もフレンドリーな会社なら大丈夫では」と思い、求職中の妹へ声をかけた。妹の亜矢さん(同)も姉の仕事内容に憧れの気持ちを抱いていたことから応募を決め、2回の面接を経て2018年に入社した。入社後「(姉妹でも)やりにくさはなく、家でも自然に仕事の話をする」(亜矢さん)という。

同社ではリファラル採用で入社した2組の姉妹が働く。仕事のパフォーマンスや定着度が高く、全社的にリファラル採用への協力を呼びかける。広報担当の森村優香さんは「転職市場にない人材へアプローチでき、有能な人材を獲得できる」と利点を話す。

コミュニケーション手段が限られる緊急事態宣言下でも、オンライン面接を活用し、新たに1人を採用したという。縁故採用と異なり選考基準や過程が明確に定められているため、会社の理想とかけ離れた人物を採用するリスクも低い。

一方、ネクストイノベーション(同北区)の石井健一社長は「頭数をそろえる目的でリファラル採用を利用すると間違う」と指摘する。同社はリファラル採用を19年から制度化し、1件の紹介につき15万―30万円のインセンティブを社員へ支払う。約60人の従業員のうち、半数がリファラル人材だ。

重要なのは「(単なる知人ではなく)会社のミッションに合う人を紹介してもらうこと」と石井社長は強調する。採用コスト削減や人数確保を目的にリファラル採用するとミスマッチを起こすリスクが高まる。リファラル採用を成功させるには、通常の採用活動の代替として捉えるのではなく、その意義を社員が理解し、日頃から準備をしておく必要がある。

リファラル採用を支援するリフカム(東京都渋谷区)の清水巧社長は、新型コロナを機に採用を「数から質へシフトする企業が増えている」と分析する。

コロナ禍でスーパーやドラッグストアなどに勤務する社会に必要不可欠な「エッセンシャルワーカー」の需要が高まった。エッセンシャルワーカーとして長く働いてくれる人材を見極めるためにリファラル採用を導入する企業が増加したという。また製造業でも同様の制度を整える動きがあり、実際にトヨタ自動車が導入した。

日刊工業新聞2020年7月28日

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