買収から13日後に倒産、礼服販売業者が“死に体”だったカラクリ

ラブリークィーン、コロナで企業価値が大きく毀損

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女性用フォーマルウエアは総合スーパーの意向に左右され在庫がたまりやすい(写真はイメージ)

女性用フォーマルウエアの販売を手がけていたラブリークィーンが6月16日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。同社は美容・広告・システム開発などを手がけるRVHの子会社として、各地の総合スーパー(GMS)など約500店舗でドレスやスーツ、コートなど女性用フォーマルウエアを販売していた。しかし、同業者との競合に加え、GMSで販売されるフォーマルウエアはデザインや商品の入れ替えなどGMSの意向に左右されることが多かった。時には売れ残った商品の返品を受け、大量の在庫品を抱えるなど業績は好転せず、2019年3月期の年売上高は約51億3300万円で赤字決算となった。

こうしたなか、新型コロナウイルスの影響で20年5月の売り上げは前年同月比7割減にまで減少。この間、RVHは子会社の整理、処分によるグループのスリム化を進めており、4月頃にラブリークィーンの売却話を別会社に持ち掛けていた。持ち掛けられた企業は緊急事態宣言下で簡易なデューデリジェンスしかできなかったが、相当額の在庫を保有していることを考慮すると、運転資金のめどさえつけば、同宣言解除後の業績回復も見込め、再建の目がないわけではないと判断。6月3日にRVHから株式を取得していた。

ただ、買収後に想定を超えるほど足元の資金繰りが悪化していることが判明。このまま事業を継続しても財務状況が改善する見込みがないと判断し、買収から13日後の6月16日に東京地裁へ自己破産を申請するなどスピード倒産となった。

今回の倒産は買収側のデューデリジェンスが甘かったと言えなくもないが、コロナ禍では足元の企業価値がデューデリジェンスの結果を大きく下回って毀損(きそん)してしまうケースが起きやすくなっている。その意味ではコロナ禍におけるM&A(合併・買収)の難しさの側面が垣間見える倒産となったのではないだろうか。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2020年7月28日

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