日産が投入計画の「軽EV」、三菱自の工場で生産する狙い
日産自動車は、2023年度までに投入予定の軽自動車規格の電気自動車(EV)を、三菱自動車の水島製作所(岡山県倉敷市)で生産する。軽の開発や生産で培ってきた三菱自との連携(アライアンス)を生かす。日産は電動化や運転支援技術を搭載した新型車の投入を加速し、業績の立て直しを図る。国内市場で約4割を占める軽でも同様の取り組みで商品力を強化し、販売の巻き返しにつなげる。
日産は軽のEVを23年度までに投入することを公表済み。サプライヤーによると量産開始時期は22年以降とみられるが、流動的だという。
日産と三菱自は11年に軽の商品企画などを手がける共同出資会社を設立。13年に発売した初代の軽は三菱自が日産のノウハウも生かしながら開発と生産を主導した。19年発売の2代目は日産が開発、三菱自が生産を主導する体制に変更。日産の運転支援技術などを搭載して商品力を高め、互いに固有のデザインをつくり込み差別化も実現した。
こうして共同開発した軽のシリーズは19年度の国内販売で、それぞれのブランドで最量販車種となるなど販売をけん引する。こうした実績、協業の深化、周辺に集積する部品メーカーを含め培ってきた軽の開発や生産のノウハウなどを総合的に判断し、水島製作所での軽のEVの生産を決めたとみられる。
その軽EVでは将来の自動運転につながる先進の運転支援技術を搭載するなど商品力の向上が見込まれる。アライアンスを活用して品ぞろえを拡充し、軽事業を強化する。
日産はコア市場と位置づける日本で、人気のスポーツ多目的車(SUV)セグメントに独自のハイブリッドシステム「eパワー」搭載車を6月、新型EV「アリア」を21年半ばに投入するなど電動車戦略を加速する。
軽のEV投入も含め23年度までに国内で新車販売に占める電動化比率を19年度比約2・4倍の60%に引き上げ、販売の巻き返しを図る。